トランプ米政権が、中国による経済報復が米国と同盟国に対する重大なリスクとなると認識し始めた。

 米政権は中国の経済報復の例として、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備に反発する中国が、自国での韓流禁止や中国人団体客の韓国旅行禁止など韓国に対する報復措置を取った「THAAD報復」を挙げた。

 米国防総省は13日(現地時間)、マティス米国防長官が先月トランプ大統領に提出した中国の経済的な脅威に関する関係省庁の合同報告書で「中国はインド・太平洋地域の貿易支配力を、
ソフトパワー(経済・文化などを通じた影響力)強化に利用した」と指摘し、中国による実力行使の事例として、韓国のTHAAD配備に対する中国の報復を紹介した。

 報告書は「韓国が、米国の外交・軍事政策の核心的要素であるTHAAD配備を発表した直後、中国は韓国政府に対して攻撃的な経済戦争作戦を敢行した」と指摘。その上で、韓国の輸出全体のうち中国の占める割合が25%に達すると紹介した。

 さらに「このような中国の経済圧力作戦は、米国のほかの同盟国に対しても見られる」として、南シナ海の領有権紛争に関連してフィリピンからのバナナ輸入を中止したことや、尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権争いで日本に対しレアアース(希土類)の輸出を制限したこと、台湾に対する継続的な経済的圧力などを挙げた。

 報告書は最後に「中国は貿易支配力をソフトパワー強化に使用しようとしており、米国の製造業や防衛産業がさらに大きなリスクに直面することになる」と結論付けた。

 この報告書は、トランプ大統領が昨年7月に行政命令を通じ、製造業と防衛産業のリスクを全政府次元で確認・評価するようマティス長官に作成を指示したものだ。これに基づきトランプ大統領は「国家安全保障」を切り札に中国に対する貿易圧力を一層高めるものとみられる。

 ホワイトハウスのボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も前日、あるラジオ番組のインタビューで「中国を次の世紀の地政学的リスクと考えているか」との質問に対し「米国は中国を現世紀の主要問題と考えている」として「私はこの世界が今、新たな冷戦の状況にあると言いたい」と述べた。

 ボルトン補佐官は「中国の軍艦が(南シナ海で)挑発してきたら発砲するのか」との質問に対しても「指揮官が必要な権限を持っている」としながらも「われわれは米軍に対する挑発には黙っていないつもりだし、われわれは海(南シナ海)が(自由に)航行できる状態を維持することを決定した」と述べた。発砲の可能性を排除しなかったわけだ。

 ボルトン補佐官はまた「われわれは英国やオーストラリアなどの同盟諸国と共に南シナ海を航行するだろう。中国の協力の有無はどうあれ、今後南シナ海ではより多くの鉱物資源発掘を目にすることになる。南シナ海は中国の領土ではないし、今後もそうなることはない」と強調した。

ワシントン= 趙儀俊(チョ・ウィジュン)特派員

ソース:朝鮮日報/朝鮮日報日本語版<米が中国による同盟国への報復を危惧…韓国へのTHAAD報復を例示>
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/10/14/2018101401575.html