在日コリアンの排斥を訴えるブログの扇動を背景に大量の懲戒請求が出された問題で、男性から根拠のない懲戒請求を出されて名誉を傷つけられたなどとして、金竜介弁護士が請求者の男性を相手取り55万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、東京地裁であった。浅香幹子裁判官は、金弁護士側の主張を認め、不法行為による精神的苦痛に対する慰謝料などとして、男性に33万円の支払いを命じた。

 男性は第1回口頭弁論を欠席し答弁書の提出もしなかったため、即日結審していた。

 同じブログを背景に全国で約13万件の請求が出され、複数の弁護士が請求者を提訴しているが、判決は初めて。

 判決によると、男性は昨年11月、朝鮮学校への補助金交付に絡んで東京弁護士会が出した声明に賛同したのは「確信的犯罪行為である」などとして金弁護士ら18人の弁護士の懲戒を同弁護士会に請求。浅香裁判官は「(金弁護士が)在日コリアンであることを理由に対象者とされた」と認めた。

 ブログが「反日」や「在日」と決めつけた弁護士への懲戒請求を呼び掛けたことなどを受け、2017年に大量の懲戒請求が各地の弁護士会に出された。金弁護士に対してはこの男性によるものを含めて計959件の懲戒請求が出されていた。

 金弁護士は訴訟で「請求は人種差別であり、悪質性は顕著」などと主張。判決を受けて「評価できる判決。(一連の懲戒請求が)社会的に認められないということを一人一人に理解してもらいたい」と語った。

https://mainichi.jp/articles/20181023/k00/00e/040/290000c