日本と中国は先月、北京での首脳会談で300億ドル規模の通貨スワップ協定を結んだ。外貨準備高世界1、2位の中国と日本が経済危機発生時に相互協力しようと手を結んだことになる。

日本は7年ぶりの公式首脳会談を通じ、中国が推進する一帯一路事業への参加に加え、第三国のインフラ事業への共同進出などさまざまな経済協力事業を推進することで合意した。

 米国が中国と貿易戦争を展開する間、米国の最も強固な同盟国だと強調してきた日本が中国と手を組んだ格好だ。さらに、尖閣諸島(中国名・釣魚島)紛争をきっかけとする両国の対立を考えれば異例の動きだ。

日本が憲法改正で再武装を推進し、軍事力を強化していることが、中国を狙ったものであることは今や秘密ではない。日本政府は毎年発行する防衛白書で「中国崩壊論」に触れている。

日本の政界と学識者の間で流行するシナリオは、少数民族、貧富の差、共産党の腐敗で体制に亀裂が生じ、中国が尖閣諸島での局地戦で内部の引き締めを図るというものだ。

 中国にとっても、日本は歴史的に韓日関係並みに複雑で和解が難しい国だ。その象徴が中国・南京にある大虐殺記念館だ。日本軍が1937年に南京に侵攻し、6週間で民間人30万人を虐殺したことを忘れまいと建てた記念館だ。

しかし、安倍晋三首相は2015年、国会答弁で南京大虐殺を扱った米国の教科書について、「愕然(がくぜん)とした」と述べた。安倍首相を含む多くの日本の右派政治家は、南京大虐殺を誇張された歴史のねつ造だと主張する。

05年と12年に中国の主要都市で反日デモが起き、日本企業が焼き打ちされた事態も日本の政治家による歴史否定が決定的なきっかけだった。現在でも領土紛争が存在する尖閣諸島では、両国の艦艇、戦闘機が追撃戦を繰り広げている。

それでも両国首脳は「競争から協調へ」「脅威ではなくパートナーシップを構築する」と宣言し、領土紛争で中断していた通貨スワップ協定を5年ぶりに復活させた。両国の協力は「トランプリスク」のせいだという分析もある。

トランプ米大統領は安全保障分野での同盟の価値よりも自国の利益を優先し、伝統的な友好国であるカナダ、日本、欧州連合(EU)、韓国に貿易報復の刀を振り上げている。このため、日本も中国も新たな安全保障・経済戦略を模索している。

 中国と日本が敵との「同床」を辞さない混とんの時代だが、韓国は将来にどれほど備えているだろうか。

中国と日本は通貨スワップ協定の締結で危機に備えているが、韓国は日本、米国と通貨スワップ協定を結べずにいる。韓国は2008年の世界的な金融危機当時、米国、日本を相手に積極的に動き、通貨スワップ協定を結び、結果的にそれが為替の防波堤の役割を果たし、リーマンショックからどの国よりも先に脱出した。

 韓国政府は外貨準備が十分にあり、中国、スイス、カナダと通貨スワップ協定を結んでいるため、危機対応に問題はないとの立場だ。アジア通貨危機直前まで当時の韓国政府は経済協力開発機構(OECD)への加入がまるで先進国になったことを示す保証手形かのように主張していた。

歴史から教訓を得られなければ未来はない。米中の全面衝突、ITバブル論などで世界の株式市場で株価が乱高下するなど、世界経済が揺らいでいる。歴史認識と領土紛争による旧怨があるにもかかわらず、中国と日本が再び手を結んだ理由を我々も考えてみるべきだ。

2018/11/11 05:06
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