約束は守らなければいけないことは小学生でも知っていることである。一私人においても契約書に署名捺印すれば、その約束を履行しなければならない。約束事を守らない者は社会的制裁を受け、何よりも大切な信を失うことになる。こんな当たり前のことが、隣の国の大統領も最高裁判所長官も、そして国民もが分かっていないようだ。

今般、韓国大法院(最高裁判所)が、1965年の日本と韓国が国交正常化に際して締結した合意内容を否定し、日韓関係を根本から覆すような判決を出したことには驚きを禁じ得ない。

この65年に同時に締結された「日韓基本条約」と「日韓請求権・経済協力協定」の全文は外務省ホームページで検索すれば見ることができるので、読者諸賢も一度読んでもらいたい。どちらも数箇条の簡明な条約と協定で、誰が見ても疑義を挟む箇所はない。

中でも「日韓請求権・経済協力協定」の第二条の1「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、(中略)完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」の文言は決定的である。

ところが韓国大法院は、今回の訴訟で原告(元徴用工)が求めているのは、「朝鮮半島に対する日本政府の不法な植民地支配と侵略戦争の遂行に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする慰謝料請求権、いわゆる強制動員の慰謝料だ」とし、「このような強制動員の慰謝料請求権が、請求権協定の適用対象に含まれると見なすことはできない」と認定した。

これは韓国側の一方的な歴史観に基づく法解釈で、そもそもこんな合意は該条約と協定のどこにも存在していないのであるから、全く手前勝手な不当判決だ。

「条約法に関するウィーン条約」第26条は「効力を有するすべての条約は、当事国を拘束し、当事国はこれらの条約を誠実に履行しなければならない」と規定しており、韓国大法院の判決はこれに明らかに違反していることを特筆しておかねばならない。

しかし、韓国には誠に理解し難い“国民情緒法”というものが存在し、これが国内法や国際法に優越し、裁判官が判決を下す基準に情理が重視されるという。裁判所や政府が何らかの決定を下すときには、大方の国民が納得できる判断を示し、国民感情を優先するのだそうだ。これがまともな法治国家と言えようか。

日本は朝鮮半島有事に、米軍に日本の基地を使用させ、韓国のために戦う米軍を自衛隊が後方支援をし、韓国防衛に貢献することになっていることを韓国は分かっているのだろうか。これからも米韓同盟や日米韓の連携の強化が求められているのである。

2年前に締結された「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」は1年毎の自動更新だが、今後も継続されるかは疑問だ。日韓関係を根本から覆す韓国との連携は誠に難しい。


2018/12/15
https://vpoint.jp/opnion/126336.html