北朝鮮は16日、韓国軍の全軍主要指揮官会議の開催を非難した。同会議は国防部長官(国防相)が年2回開く韓国軍の通常会議だ。最近北朝鮮は今年9月19日の南北軍事合意を理由として、韓国軍の細かい行動を「合意違反」と批判している。韓国政府は「軍事分野の合意履行によって(北朝鮮への)対応態勢が低下することはない」と説明しているが、北朝鮮は何かにつけて不満を表明している。韓国軍周辺からは「軍事合意が軍の行動の足かせになっている」との声が聞かれる。

 朝鮮労働党機関紙の労働新聞は16日、「軍事的対決を鼓吹する旧態依然の対応」と題する情勢解説記事を掲載し、今月5日に開かれた韓国軍の全軍主要指揮官会議について、「南朝鮮軍部が北南関係改善の流れに逆行し、軍事的対決に躍起になっている」と主張。そして、「(会議では)好戦的な発言があった。朝鮮半島で軍事的緊張緩和と平和、反映の新しい時代が開かれつつある重大な時期にそれに逆行している」と断じた。

 北朝鮮が問題にしたのは、会議で鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官が行った冒頭発言だ。鄭長官は「韓国政府の安保戦略の両軸は平和とそれを支える強い国防力だ。韓国軍は韓半島(朝鮮半島)の非核化と恒久的な平和定着のための国家政策と政府の努力を力で支えなければならない」と述べた。

 韓国軍の活動に対する北朝鮮メディアの難癖が最近になって増えている。分野も多彩だ。対南宣伝メディア「わが民族同士」は最近、韓国の国防予算が前年比8.2%増えたことについて、「軍事分野の合意に対する露骨な違反だ」と報じた。韓国軍が最新型パトリオット迎撃ミサイルなどを決定したことについても、「北南関係改善ムードに反する形で海外からの軍備導入を急いでいる」と批判した。

北朝鮮メディアは先月、韓米合同の海兵隊演習「KMEP」が実施されたことについても、「朝鮮半島全地域で実質的な戦争リスク除去と根本的な敵対関係解消を確約した北南間の軍事合意書に反するものだ」と指摘した。

 韓国軍に対する北朝鮮の無差別的な批判は、9月の軍事合意の『ポイズンピル(毒薬条項)』が根拠になっているとみられている。軍事合意の1条1項は「双方は大規模軍事演習および武力増強問題について、『南北軍事共同委員会』を稼働して協議していくこととした」となっている。予備役将校A氏は「北朝鮮が韓国軍の通常、基本的な活動まで露骨に縛ろうとしている。つまり韓国軍はただ息だけしていろという話だ」と述べた。

 しかし、韓国の軍や政府の公式な対応は見られない。軍は相次ぐ北朝鮮の批判にも沈黙。記者説明で指摘されて初めて、「軍事合意には違反していない」などと守勢に回ったコメントを出すばかりだ。峨山政策研究院のシン・ボムチョル安保統一センター長は「軍事行動委員会や高官級会談を通じ、北朝鮮の主張が合意事項を超えている点を確認すべきだ」と主張した。

梁昇植(ヤン・スンシク)記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2018/12/17 10:03