54年前の文書に記されていた「徴用工問題は解決済み」の根拠

■1965年に韓国政府が発行した日韓請求権協定の解説書を古書店で発見
■「徴用工の補償金は完全かつ最終的に消滅」と明記
■なぜ?それでも日本企業に賠償命じた韓国最高裁


■古書店に眠っていた日韓請求権協定の「解説書」

ソウル市内の古書店で、1冊の本を発見した。「大韓民国と日本国間の条約および協定解説」。日韓基本条約や日韓請求権協定が結ばれた1965年に韓国政府が発行した解説書だ。黄ばんだ表紙が、54年という長い年月を感じさせる。

いわゆる徴用工をめぐる韓国最高裁の判決が日韓関係の根幹を揺るがしているが、争点となっている日韓請求権協定について、韓国政府がどう解釈し国民に説明していたのかが、この本を紐解くことで明らかになった。

■請求権協定に「徴用工への賠償」が含まれていると明記

https://www.fnn.jp/image/program/00419440HDK?n=11&;s=nc
漢字とハングルが混じっていて「被徴用者」という文字が読める

この解説書には、そもそも請求権協定とはどういうものなのかが、その交渉経過とともに記されていた。漢字とハングルが混ざった文を訳してみる。

「第2次世界大戦が終了し、韓国が日本から独立して両国が分離したことによって、両国民の他方国内の財産と両国および両国民間の色々な未解決請求権をどのように処理するのかの問題が自然に発生することになった」(解説73ページ)

「財産請求権問題は最初、請求の法的根拠と請求を立証する事実的な証拠を詰めていく方式で討議されたが、両側の見解が折衝の余地を与えないほど顕著な対立を見せたので、やむをえず各種の請求権を細分して一つ一つ別途検討しないで一つにまとめて包括的に解決することを模索することになった」(解説74ページ)

請求権協定をまとめる交渉の過程では、当初一つ一つの事例を積み上げる方式で議論がなされたが難航し、結果的に全部まとめた「包括的な解決」にしたと解説している。その「包括的な解決」に何が含まれているのかが重要だ。韓国政府は「8項目の対日請求要綱」を日本側に提示し、その中身をすべて包括するよう求めた。その8項目の中から、徴用工に関する部分を抜粋する。

「被徴用韓国人の未収金」(解説76ページ)

「被徴用者の被害に対する補償」(解説76ページ)

被害に対する補償は、どう考えても「賠償金」を意味している。
そしてこの「8項目の対日請求要綱」が最終的にどうなったのかも、解説書には明記してあった。

「8項目を包含する形で完全かつ最終的に解決することにした」(解説82ページ)


【執筆:FNNソウル支局長 渡邊康弘】 2019年2月4日 月曜 午後0:00
https://www.fnn.jp/posts/00419440HDK

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