【ソウル=山田健一】韓国電力公社が22日発表した2018年12月期連結決算は、営業損益が2080億ウォン(約200億円)の赤字となった。前の期は4兆9523億ウォンの黒字だった。定期点検などによる原子力発電所の稼働率低下とともに、文在寅(ムン・ジェイン)政権の「脱原発」政策が赤字転落の要因になったもようだ。

売上高は1%増の60兆6276億ウォン。猛暑の影響でエアコン需要が増え、主力の電力収入が2兆ウォン以上伸びた。

一方、営業損益の悪化幅は5兆ウォン以上に達した。韓電は「発電にかかる燃料費が3兆6000億ウォン増えたほか、再生可能エネルギー拡大の費用がかさんだ」と説明。比較的低コストの原発に代わり、液化天然ガス(LNG)や石炭を燃料に使った火力発電を増やしたことが損益を悪化させたようだ。

17年発足の文政権は脱原発が公約。韓国南部の老朽原発の稼働を停止したほか、着工中のものを除いて新規原発の建設計画を凍結した。このほか、18年は定期点検などで原発稼働率が約66%と前年比約5ポイント低下した。

韓電は「損益悪化要因のなかで原発が占める比率は18%程度だ」と一定の影響を認めつつ、「脱原発は赤字の主因ではない」と強調した。同社は人事などを通じて政権の支配下にある。赤字転落を巡る批判の矛先が文政権の脱原発政策に向かうのを避けたいようだ。

韓電の赤字転落を受け、韓国メディアでは電力料金の引き上げを懸念する論調が目立つ。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41622820S9A220C1FFN000/
日本経済新聞 2019/2/22 17:22