韓国国防部(省に相当、以下同じ)が発行した将兵のための精神教育用基本教材から、韓米同盟について説明する部分と、北朝鮮を敵とする記載が削除されていたことが分かった。戦争が起こった場合に誰が味方で、また誰と戦うかが明確にされなくなったのだ。ある記者が訪米中の国防部幹部に対し、在韓米軍司令官の発言を引用して「韓米合同軍事演習の縮小は米軍も懸念している」と指摘したところ、この幹部は「補完はすべきだが、北朝鮮の立場からすると非常にあいまいな部分が生じるので注意している」という趣旨の回答を行った。米軍の関係者は「このまま韓米合同軍事演習が縮小された場合、韓半島(朝鮮半島)の防衛体制に穴があく」として懸念を隠さないが、韓国軍関係者は「演習を補完した場合、北朝鮮が嫌うのではないか」と逆の心配をしているのだ。

 現政権発足後、韓国軍は北朝鮮へのご機嫌取りを繰り返してきたが、最近はそれが完全に身に付いてしまったようだ。韓国国防部の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)長官は、哨戒艦「天安」爆沈、延坪島砲撃など北朝鮮の三大軍事挑発について「芳しくない挑発」「われわれも一部理解できる部分がある」などの見方を示した。鄭長官は米国製ステルス戦闘機F35Aの受領行事にも出席しなかった。

 このように国防部は今、完全に南北関係しか考えていないため、韓国統一部の第2中隊のような役割に没頭している。国防部が江原道高城郡、鉄原郡、京畿道坡州市で非武装地帯の鉄柵を「非武装地帯、平和の道」として開放すると発表した際、「北朝鮮から射撃を受けたらどうするのか」との質問に「高城の1カ所だけは鉄柵を越えないコースにする」と説明した。大統領からして北朝鮮の気分に配慮し「西海(黄海)守護の日」記念式典に2年連続で出席しなかった。韓国軍の統帥権者がこれでは、韓国軍全体が国の安全保障よりも北朝鮮の気分を重視するのは当然だろう。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/04/04/2019040480079.html
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2019/04/04 10:53