(前略:年号と『令和』の説明)
興味深いのは韓国メディアが韓日関係と関連する他の多くの懸案とは異なり、感情的評価を前面に出すより事実だけを淡々と報道している点だ。特に「美しい調和」という説明が可能なように、その意味は悪くはないが、その採択経緯を見れば多分に民族主義的で保守主義的な脈絡を把握できるにみかかわらず、このような反応なのが興味深い。

例えば中国古典からとった従来の方式とは異なり、日本の古代詩歌集の万葉集から由来を探したことは日本の伝統と文化を高揚しようとする安倍内閣の保守主義および愛国主義が発動されたのに間違いない。

韓国がこのように冷静に反応するのはいくつかの側面から説明できる。一つは最近の韓日関係が非常に深刻な葛藤状況にあり、哨戒機低空飛行騒動あるいはレーダー調査問題で明確にあらわれたので自制する努力が何時の間にか現れているという解釈も可能だ。歴史認識問題と関連しては差を縮めにくくても葛藤を安保問題まで育てるのは良くないという考えが自制力を持つ成熟した反応をもたらしたということだ。

もう一つは「レイワ」という用語が見慣れなず外国メディアの指摘のように命令という単語をまず浮かび上がるが、一般的に考えれば「令夫人」や「令嬢」等の用語に見られるように韓国としてはすでに使われる用法なのであまり不慣れではなく、説明すれば納得できるからだという。そこに調和を高めるという意味で「和」に「令」を付けたとすれば、多少権威的ニュアンスは感じられるが悪いとは考えないという推測が可能だ。

出処とされた万葉集の借用文句の「初春令月、気淑風和」の「令」は明らかに美しさを意味する。すなわち、初春の月と風が美しくてやわらかいと歌っているのだ。従って、レイワに「美しく心をやりとりする中で文化が生まれ育つという意味が含まれている」という安倍総理の説明も行き過ぎた解釈には聞こえない。

「レイワ」に対する韓国内のこのような反応を見ながら葛藤的様相を抜けられない韓日関係の突破口を見るようだ、という安堵感もわいた。現在の葛藤的韓日関係はお互いの異なる立場を政治的に利用しようとするポピュリズムや韓日両国で明らかになった世代変化や経済的地位の変化、そして変化する国際政治状況に対する認識や対応に違いをもたらす歴史文化的側面などと同じように多様な要因によるものということができる。

これらは結局、互いに違うということを認めず、自己主張だけを前面に出すからだ、と要約できる。いかなる国家も自己主張だけを前面に出すことはできないが、強大国の間に位置した韓国や日本はさらに互いに違うことを認める多様性と柔軟性、すなわち美しい調和を基本とする成熟だけが両国関係はもちろん、東北アジアと世界の平和および発展に尽くすことができ、結局、自国の平和と発展に役立つだろう。

イ・ミョンウ世宗(セジョン)研究所副所長
https://newsimg.sedaily.com/2019/04/07/1VHRV3GJI3_3.jpg

ソース:ソウル経済(韓国語) [韓半島24時]「美しい調和「先導する成熟した韓日関係
https://m.sedaily.com/NewsView/1VHRV3GJI3