韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領就任2周年の対談でホットイシューになったのは、むしろインタビューを行ったKBS(韓国放送公社)のソン・ヒョンジョン記者のほうだった。内容上、やや野党寄りの質問をしたという点だけでなく、表面に見える態度が「無礼だ」というのが批判の核心だった。 

  「円滑に進めるよりも質問者が顔をしかめてばかりいる。コミュニケーションの基本ではない」「返事をよく聞きもしないで割り込むのに忙しく、返事をする者の流れを切った」という指摘が文大統領支持層から強く出てきた。この渦中でソン記者に対する個人情報暴きも続いた。 

  文大統領支持層がメディアの「態度」を指摘するのは初めてではない。任期序盤も一部のメディアが金正淑(キム・ジョンスク)夫人のことを「金正淑氏」と称してたことで大変な目にあった。ほぼ同じ時期、文大統領が青瓦台(チョンワデ、大統領府)構内の食堂でトレイを持って自分でご飯を盛って食べる写真を紹介した報道機関も「コメント爆弾」に苦しめられた。「ご飯も一人でよそって食べた」の中で「よそって」という表現が「文大統領を下に見ている」という攻撃だった。 

  ソン記者への非難の裏には、メディアに対する累積した反感があるとみることができる。西江(ソガン)大学政治外交学科のイ・ヒョヌ教授は「与党陣営では保守陣営が過去に盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領を認めず、その延長線上で悲劇的の死まで招いたと考えている」とし「該当インタビューで記者が『独裁者』という表現を使いながら答えにくい質問だけを集めて聞いたことが、支持者の間では『朴槿恵(パク・クネ)前大統領の時なら敢えてあのようにしただろうか』という反感につながった」と伝えた。西原(ソウォン)大学のオム・テソク教授は「朴槿恵前大統領の時から支持層の結束が強くなった雰囲気がある」とし「一方では、米国では報道機関と大統領がきっ抗した緊張の中で談話やブリーフィングを行うとポイントが高くなるが、韓国ではこれとはなじみが薄かった側面もある」と話した。 

  だが、質問の水位と態度をめぐり、記者個人に向かった非難は多数による抑圧だという指摘も無視できない。今回の対談の後、ソン記者に対する批判は青瓦台の国民請願にも投稿された。ソン記者はもちろん、彼女の夫の身元まで「洗いざらい」暴かれた。さらに、ソン記者の親戚と伝えられたアイドルのメンバーに対しても激しい抗議が寄せられた。 

  特にこのような社会的憤怒現象に対しては「制度的には民主的な共和政を目指しているものの、社会意識では朝鮮王朝の封建的思考が位置している、韓国的な遅滞現象がろ過なく爆発した」という診断が出る。 

  イ・ヒョヌ教授は「権威主義時代の大統領を批判しながらも大統領に対する礼儀と義理を強調する乖離現象」と伝えた。オム・テソク教授も「韓国では大統領を依然として『市民代表』というよりも『統治者』という概念で見るきらいがある」と指摘した。 

  このような君主的思考観は一般市民はもちろん、政界でも同じような様相を呈している。 

  弾劾された朴槿恵前大統領に対する義理を守ることが最も重要な徳性のように強調するのが代表的な例だ。与党内でも安熙正(アン・ヒジョン)前忠南知事が潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長に対して「自身が仕えていた大統領の死の前に弔問さえできない信義のない人」といった。国民や共同体よりも「自分たちの主君」が先という考え方の発露だ。 

  今年は民主共和国の出発と考える大韓民国臨時政府100年の年だ。民主共和国という制度だけでは完成することができないことを、結局市民社会の成熟した意識が基本にあるべきことを今回の「KBS対談論争」は逆説的に物語っている。

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[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]2019年05月13日 11時09分

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