「国際映画祭は記録競技ではない」

 韓国映画がカンヌ映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞したことを祝う文在寅(ムン・ジェイン)大統領のツイッターを批判した映像制作会社の社長が、文大統領の支持者から激しい批判を受け謝罪に追い込まれた。

 今月26日、フランスのカンヌ映画祭でポン・ジュノ監督の映画「寄生虫(パラサイト)」がパルムドールを受賞したことを受け、文大統領はツイッターで「受賞作の『寄生虫』がここ1年の間に世界で製作された全ての映画の中で最も優れた作品として認められた」から始まる祝いの言葉を書き込んだ。

 この文大統領のツイッターについて芸術映画や独立映画をブルーレイで製作するある映像制作会社がこの日、ツイッターに「(文大統領の)コメントは映画芸術の相対性に考えが及ばない残念な部分」と書き込んだ。パルムドールは世界一を意味するわけではなく、映画の作品性は序列化できないという趣旨だ。この会社は「国際競争映画祭は記録スポーツ競技ではない」とも主張した。

 これに対してネットではこの会社への非難が相次いだ。与党・共に民主党の支持者とみられるグループの掲示板には「無礼だ」という趣旨の数百件の書き込みがあった。「(この会社の商品は)絶対に買ってはならない」「滅んでしまえ」として同社商品の不買運動を呼び掛ける書き込みもあった。中には「この程度の批判もできないのか」として会社を擁護する書き込みもあったが、非常に少数だった。

 最終的にこの会社の社長は27日、ツイッターに「形式と方法、文章のニュアンスなどいずれも慎重さに欠けていた」「うれしいニュースが伝わったことで、誰もが共に祝おうとした大統領府の配慮に考えが及ばなかった点、韓国からの祝電を自然に受け入れ喜んでいた映画のスタッフにも不快な思いをさせたかもしれない不注意さを謝罪する」という内容の謝罪文を掲載した。社長は「謝罪」という言葉を6回使い、元の批判的な書き込みも削除された。一連の騒動について明知大学のキム・ヒョンジュン教授は「大統領に対して意見する自由も容認されない今の現状は、民主主義の価値が破壊されている」「(一部ネットユーザーの)今回の動きは文大統領のイメージにもマイナスに作用するだろう」と指摘した。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/05/28/2019052880056.html