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▲ユン・ドクミン韓国外大客員教授・元国立外交員長

大韓民国は内外で四面楚歌だ。昨年は韓国の経済に関する世界評価機関の展望は概して3%台の成長だった。今年に入って2%台に下落し1分期が過ぎて1%台の展望まで出ている。1分期、韓国経済は0.3%マイナス成長だ。投資はマイナス10.8%で輸出も急激に減っている。現在と今後の景気動向を現わす動向指数・先行指数はいずれも10カ月以上連続して下落している。1970年統計作成以降初めての出来事だ。

ところが韓国政府は緊急な経済再生や景気浮揚どころか、根拠のない楽観論と共に世界10位の堅実だった自由市場経済で成功した事例のない急進的左派経済プログラムを実験している。経済がまもなく反騰するという基底効果は2年が過ぎてもニュースがなく、消費が萎縮して市場は崩れ、両極化は急速に激しくなっている。

外の状況はどうか?そうでなくても経済も困難な時に何を間違ったのが、四方すべてが私たちに報復するという声で一杯だ。中国と日本そして北朝鮮さえ報復を警告している。米国は中国の覇権挑戦を排除するために武器を選んだ。貿易戦争から技術戦争へ、そして為替レート戦争から戦争拡大の一途だ。グーグル、インテルなど米国企業はファーウェイ(華為)と取り引き中断を発表し、同盟国企業が後に従う。中国は対米抗戦の総動員令を発している。米国が推進する「華為退出」に韓国が参加すれば、THAAD(サード)報復と同じ大規模報復を加える可能性があると圧迫する。華為事態の飛び火が私たちに飛ぶことを恐れて戦々恐々だ。

華為退出に参加すれば一定部分、中国の報復を避けにくいだろう。しかし、体験したサード報復に比べ中国の報復は思ったより制限的だろうと考えられる。まず、騒がしいサード報復にもかかわらず、大衆交易は14%増加した。韓国の対中輸出の大部分が中国産業に絶対必要な部品素材だ。私たちは華為の通信装備を買うが、それ以上に華為は韓国産部品を買わなければならない構造だ。

さらに米国企業はもちろん日本、英国、台湾など優秀企業が参加しており、事実上、韓国産以外の代替品を探すのは難しい。そして世界優秀企業がすべて参加する状況で、韓国だけ選んで報復するのも難しい。今回の事態はもしかしたら人工知能、5Gなど未来成長動力を左右するデジタルプラットホーム競争で中国に押されていた韓国企業にとって千載一遇の機会かもしれない。

華為報復より私たちの経済に致命的な脅威は日本の報復であろう。中国の報復は市場を失う危険だが、日本の報復は私たちの産業の急所を脅かす。昨年、大法院の強制徴用被害者に対する賠償判決以後、韓日関係は修交以降、最悪の状況に置かれている。強制徴用問題は1965年、韓日基本条約で両政府が最終的に解決した懸案だ。大法院判決は条約に明記されたものをひっくり返したのだ。

当然日本は強力に反発する。ところが驚くべきことに大法院判決には関与できない、という理由で政府が日本の対話提案に応じず8カ月近く放置しているのだ。これまで被害者らは法的手続きに入って国内日本企業の財産を差し押さえ、日本政府は自国企業の差し押さえ資産売却が成立すれば、外交保護権を発動して報復に出るという態勢だ。日本の報復が現実化する場合、日本の装備や素材に依存する私たちの主力製品のOLED、スマートフォン、半導体生産は全部麻痺する。また、金融措置を通じて国家信任度を落とし、韓国経済に大きな打撃を与えることができる。

北朝鮮は「おせっかいするな」と私たちに非常に腹を立てている。この前、「不詳発射体」を撃ち、年末頃には「衛星発射体」を撃つものと見られる。北朝鮮の報復だ。それで米国は北朝鮮に対する制裁レベルを高め、金融制裁に入ることになるだろう。最近、国連制裁決議案に反して北漢山(プッカンサン)石炭数十万トンが不法に韓国に密搬入され、韓国の精製油数十万トンが北朝鮮に不法搬出されたことが分かった。米国の対北朝鮮金融制裁が発動すれば、私たちの国民企業、金融機関がセカンダリー・ボイコット対象にならないか憂慮される。

本当に四面楚歌で孤立無援だ。この有り様まで誰も出ない。礼訪外交も、危機管理もなく放置レベルだ。このまま行けば下降局面の韓国経済は致命傷を避けられない。まず報復を防ぐことが上策だ。頼むから楽観を捨てて最善を尽くせ。報復は誰も望まない。報復を加える方も大きな損害をこうむる。しかし、私たちが出なければ報復を止める名分がない。放置から脱して危機管理のための総力戦が必要だ。

ソース:朝鮮日報(韓国語) [朝鮮コラムTheColumn]米・中・日本に報復脅迫される韓国
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2019/05/31/2019053103292.html