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▲パク・ジョンフン論説室長

韓国の国家地位は随所で「コリア・パス」される状況にまで至った。韓国国会議員が日本で受けた冷遇にはあきれる。国会外交統一委員長をはじめとする3〜6選の古参議員5人が行ったのに、日本では初当選議員たった1人が対応した。

安倍総理は施政演説で韓国に言及さえしなかった。その演説には「韓国」がぴったり一度だけ登場するが、北朝鮮問題を説明する時だった。50年間欠かさなかった「韓・日経済人会議」を突然延期したのも日本だった。韓国を無視してもかまわない国、殴ってもかまわない国と考えているのだ。日本の無礼と傲慢は問題だが、口実を与えたのは私たちだ。この有り様にまで至った外交破綻が残念だ。

日本だけではない。トランプ大統領は先週の訪日で韓国にも立ち寄って欲しいという私たちの要請を断った。派手な蜜月パフォーマンスの中で開かれた米・日首脳会談でも「韓国」はなかった。トランプは日本軍艦に上がって東海を「日本海」と呼び、韓・米同盟は口にしなかった。彼は先日、韓国を名指しで「米国を嫌う国」と言った。本当に米国大統領の心の中で韓国のイメージがこのように刻印されているなら、ひどい災難に他ならない。北朝鮮にこだわって同盟と友邦を冷遇した単細胞外交が国家的惨事を招いた。地に落ちた国家の地位を戻すには長期にわたる努力と時間が必要だろう。

今、私たちは国の姿が変わり行く現実を見ている。国際社会で存在感が薄れ国力は下落傾向だ。経済活力が縮み成長動力は萎縮し未来は不透明だ。外交・安保、マクロ経済から産業・技術に至るまでどれ一つ良いものがない。こんなにまであらゆる部門がいっせいに下り坂になったことがあっただろうか。

何より恐ろしいのは、これらすべての状況が一時的後退や過渡期的現象で終わらなだろうという点だ。この政権がしているのは「楔(くさび)」を打ち込むことだ。国政各分野に理念の楔をさして政権が変わり歳月が流れても原状回復できないようにしている。大韓民国のアイデンティティを変え、国家進路を非可逆的にひっくり返そうとしているのだ。

2年前、政府が「馬車が馬を引く」所得主導成長論を持ち出した時、経済学者らは驚いた。多くの逆説が現れ副作用があふれた。しかし、政府は不動の姿勢だった。なぜそんなに執着するのか理由が分かるのに長い時間はかからなかった。所得主導論は単なる経済政策ではなかった。それは経済の権力移動のための理念の楔だった。労働権力と左派勢力が中心になる経済構造に変えるということだ。

私たちは今、民労総が羽ばたき参加連帯が勢力を伸ばす世界を見ている。労組員らが警察に暴行し株主総会を防いで建設工事を止める民労総天国が繰り広げられた。理念で武装した運動圏出身と似非専門家たちが経済運営の中心勢力になった。これが政権が望んだ姿であろう。しかし、代価は大きかった。国民の暮らし向きは悪くなり庶民経済が崩れ、経済は沈滞に陥った。一度崩れた経済の好循環構造を再び回復することは容易ではない。この政権が深々と打ち込んだ反企業・労働偏向の楔を抜くには途方もない努力が必要だろう。

不幸にも国家百年の大計を不可逆的にひっくり返そうとする政権の試みは成功を収めている。脱原発の楔は世界最強と言われた韓国の原発生態系を崩壊させた。原発部品の企業が門を閉ざし、核心人材が海外に脱出している。このままでは来年からは自力で原発を作ることができない国に転落するという。たとえ次の政権が脱原発をあきらめても原状回復には長い歳月と天文学的費用がかかるほかはない。5年すぎたら退場する政府が何の権利でこの様な自傷劇を敢行するのか。
>>2-5あたりに続く

ソース:(韓国語) [パク・ジョンフンコラム]誰が5年分政権に国家運命ひっくり返す権限与えたか
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2019/06/06/2019060602315.html