【ワシントン=中村亮、北京=原田逸策】米政府高官は24日、トランプ大統領が中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と29日に会談する方向で調整していると明らかにした。大阪で開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて会談し、2国間貿易や中国の構造問題を協議する。米政権はすべての中国製品に制裁関税を課す「第4弾」を発動する準備を進めており、首脳会談の大きな焦点となる。

一方、中国商務省は25日、中国交渉団を率いる劉鶴副首相が米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表、ムニューシン米財務長官と24日に貿易問題を巡って電話協議したと発表した。双方は意思疎通を続けることで一致した。発表によると米側の電話協議の求めに劉氏が応じた。5月にワシントンで閣僚級協議を開いて以来、閣僚間のやり取りはなかった。

米政府高官は米中首脳会談について「トランプ氏は貿易交渉が中断してからの中国側の立ち位置を見極める機会だととらえている」と説明した。これまでの制裁関税で中国経済が打撃を受けたとの認識を示して「トランプ氏は現在の状況に満足している」と指摘し、米中交渉の妥結を急がない姿勢をにじませた。

米政府高官によると、トランプ氏は中国のほかに日本とオーストラリア、インド、サウジアラビア、ロシア、ドイツ、トルコの首脳とも2国間会談を開く。

ロシアのプーチン大統領との会談では核軍縮の新しい枠組みやイラン問題、米ロ関係の改善策について議論する見通しだ。サウジアラビアのムハンマド皇太子とはサウジ人記者の殺害に同国政府が関与した事件に触れるかが注目されそうだ。日本の安倍晋三首相とは3カ月連続での会談となる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46527260V20C19A6000000/
日本経済新聞 2019/6/25 8:28 (2019/6/25 10:45更新)