フッ化水素等の輸出管理問題を受け、ソウル市内では連日のように日本製品不買運動デモが行なわれている。訪日韓国人も減少し、日韓の溝は深まるばかりだ。しかし、彼らがどれだけ正しい知識のもとに反日運動をしているのだろうか。

韓国政府がアナウンスする「嘘」「誇張」「妄想」を排し、正しい知識を共有することこそ、相互理解の第一歩ではないか。

7月4日に日本が韓国への輸出規制を決定して以降、日韓両国は何度か話し合いの場を持った。そこで日本を悩ませたのが、韓国の虚偽説明と論旨のすり替えだ。

7月12日に日韓事務レベルの会合が行なわれた後、韓国側の担当者は「日本に規制強化の撤回を求めた」と記者団に説明したが、経産省の幹部は「撤回要請は受けていない」と猛反発。

「議事録にも撤回の2文字はなく、韓国側の記者説明には公表しないことで合意した部分が含まれていることと併せて、経産省は在日韓国大使館に抗議しました」(全国紙記者)

24日には、ジュネーブで開催された世界貿易機関(WTO)の一般理事会で、輸出規制問題の討議の場にもかかわらず、韓国側の出席者が徴用工問題を議題に挙げた。

「何百万人も徴用された問題で適切な協議ができない状態の中、日本は今回の輸出規制を導入した」

そう述べた上で、今回の日本の措置は徴用工問題に対する政治的圧力が狙いだという見方を示した。振り返れば、こうした韓国の虚偽、妄想、誇張の組み合わせに日本は何度も悩まされてきた。両国関係の改善を図るためにも日本は韓国側の発言の真偽を把握しておく必要がある。

◆説明が二転三転

韓国の説明が二転三転した最近の出来事といえば、「レーダー照射問題」だ。2018年12月20日、海上自衛隊のP-1哨戒機が能登半島沖の日本海を飛行中に、韓国海軍の駆逐艦から火器管制レーダーを照射された。レーダー照射は極めて危険な軍事行為で、国際法上は反撃も許容される。

「韓国は当初『通常の作戦活動としてレーダーを運用した』と説明しましたが、その後『レーダーは発していない』『日本の哨戒機が低空飛行で威嚇した』などと説明がコロコロ変わった。海上自衛隊の記録からレーダー照射は明らかでしたが、ウヤムヤのままです」(元朝日新聞ソウル特派員の前川惠司氏)

2018年5月には、東シナ海海上東方沖の洋上で韓国船籍らしきタンカーが、北朝鮮船籍のタンカーに接舷する姿を海上自衛隊の艦艇が確認した。洋上で石油などを移し替える「瀬取り」という違法行為に韓国船が関与した疑惑が浮上した。日本政府が韓国政府に事実関係の調査を求めたところ、「違法取引の事実は確認できない」との返答だった。

「休戦中とはいえ、洋上で北朝鮮と韓国の船が接舷するのは明らかに異常な行動です。違法行為でなかったと言うのであれば、一体何をしていたのか。その説明もない」(前川氏)

外交だけでなく、国内経済でも現実と乖離した主張が多い。

「我が国の経済成長は拡大を続けて、成功に向かっている」──5月16日に開催された「2019国家財政戦略会議」で文在寅大統領は高らかに宣言した。この場で文大統領は「新規ベンチャー投資や新設法人数の増加」「低賃金労働者の減少」を挙げ、堅調な経済成長をアピールした。

だが、今年1〜3月の韓国の経済成長率は、前年比でマイナス0.3%を記録している。


※週刊ポスト2019年8月9日号 2019.07.29 07:00
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