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【ソウル=桜井紀雄】韓国で日本政府による輸出管理の厳格化に反発し、自治体の首長らが日本製品の不買運動や日本訪問の拒否を率先して呼び掛けるケースが目立っている。有権者に存在感を示すまたとないチャンスと捉えているようだが、地域行政のトップが主導する「官製反日」キャンペーンには批判も多い。

 ■左派系紙も「礼儀欠く」

 ソウル市中(チュン)区は5日、「NO ボイコット日本 行きません、買いません」と書いた旗1100本を通りに掲げると発表。明洞(ミョンドン)など外国人観光客が集まる通りが多いことから「世界に日本の不当さと私たちの強い意志を示す」と説明していた。

 ところが、区のホームページなどに掲揚中止を求める書き込みが殺到。政権寄りの左派系紙、ハンギョレも「韓国が好きで訪れた日本人への礼儀に欠ける」と厳しく批判した。

 徐良鎬(ソ・ヤンホ)区長は、ネット上で「なぜ区長は立ち上がってはいけない? 大統領も最前線で戦うときだ」などと反論し、6日、旗はいったん通りに設置された。しかし、批判はやまず徐氏が「心配をおかけした」と陳謝。結局、設置から数時間後に回収された。

■政治的パフォーマンス

 騒動に先立ち7月末、ソウルの西大門(ソデムン)刑務所歴史館で自治体の首長らが日本の措置に反対する糾弾大会を開き、日本の措置に対応する連合体を発足させた。日本統治時代に独立活動家らが投獄されたとして「抗日の象徴」とされる場所だ。

 自治体による日本製品の購入などの全面中断や公務上の訪日、日本との姉妹提携活動中断といった目標が掲げられた。参加自治体は約100に上る。大会の音頭を取った文錫珍(ムン・ソクチン)西大門区長のように与党「共に民主党」所属の首長が運動をリードしている場合が多い。

 中央政府と違い、外交上の責任を直接負わないだけに政治的パフォーマンスも目につく。ソウル市では、小学校でプラカードを掲げ、保護者らに不買運動を呼びかけた区長や、職員らと不買や日本旅行拒否を訴える紙を持って集合写真を撮る区長もいる。行政側が特定国の製品の不買を進めることは国際規定に抵触するとの指摘も出ている。

https://www.sankei.com/world/news/190807/wor1908070024-n1.html
産経ニュース 2019.8.7 20:36