愛知県などが開いている国際芸術祭で、展示の一部が、脅迫を理由に中止されてから1か月余り。「公的な場」での表現活動に行政がどう関わるべきなのか。全国の自治体が今、頭を悩ませているようです。

●後援方針 変えた
「今の時代、より慎重に判断する必要があると痛感しています」

自治体による「後援」について、こう打ち明けたのは、神奈川県茅ヶ崎市の担当者です。

催し物の主催者は、自治体の「後援」が受けられると公共施設にチラシを置いたり、自治体の広報誌で催しを告知できたりします。

しかし、市はことし後援の運用方針を次のように見直しました。

「特定の主義主張等に市が賛同していると市民に誤解を与えるおそれがあるなどの場合には、不承認となることがあります」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190907/K10012067491_1909071407_1909071411_01_04.jpg

きっかけは、去年、市内で「慰安婦」に関する映画の上映会を後援したところ、抗議や意見が800件以上寄せられ、行政の通常業務に支障が出たからだといいます。

「できるだけ多くの市民活動を応援したいという立場は変わりませんが、結果として、市民生活や行政サービスに支障をきたす事例もありました。政治的中立の判断は難しいケースがあり、今回の愛知県の話もあるので、慎重に判断していきたい」

●他の自治体でも…
こうした行政の「政治的中立」への配慮は全国に広がっています。

全国で、行政が市民活動の後援を断ったり内容の変更を求めたりしたケースについて調べたところ、この5年余りで把握できたケースだけで、43件に上りました。その多くは、「原発」や「憲法」など意見が分かれるテーマを扱っていました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190907/K10012067491_1909071407_1909071411_01_02.jpg


NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190907/k10012067491000.html