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■青瓦台・THAAD基地も北のドローンに潜り込まれる

 北朝鮮のドローンの脅威は、既に2014年から具体化していた。京畿道坡州やペンニョン島、江原道三陟などで相次いで北朝鮮のドローンが発見された。このドローンからは、青瓦台(韓国大統領府)の全景や韓国軍の施設を撮影した写真が見つかった。17年には、慶尚北道星州のTHAAD(高高度防衛ミサイル)基地や江原道の韓国軍部隊を撮影したドローンが発見されたこともあった。その後ドローン防衛システムの構築に乗り出した首都防衛司令部は、今年4月にイスラエルからドローン・テロ防止用の探知レーダー9基を導入し、戦力化したという。韓国軍の関係者は「これまでは事実上、ドローン専用レーダーはない状態だった。青瓦台や国防部(省に相当)など首都圏の主要施設は、ある程度ドローン探知が可能になった」と語った。

だが韓国軍の首脳部が集まっている鶏竜台など、首都圏以外の地域は依然としてドローン攻撃に対し無防備で、探知をしてもしかるべき迎撃手段がないという。韓国軍関係者は「レーダーで探知しても、バルカン砲のほかには特に迎撃手段がない」と語った。韓国軍は、ドローン撃墜のためバルカン砲の性能改良事業を進めていることを明らかにした。

 現政権になって青瓦台は、ドローンやITなど特殊分野の攻撃に対応するため、警護処の傘下に未来対応処を新設した。昨年11月、警護処が青瓦台の上空で、ドローンの青瓦台侵入に備えた独自の対応訓練を実施する様子が付近の住民にキャッチされたこともあった。だが韓国政府の消息筋は「最近北朝鮮軍は生物・化学兵器を搭載できる攻撃用ドローンも保有している状況で、あらゆる攻撃ルートを完璧に防ぐのは難しい」と語った。

■1級保安施設の原発に相次いでドローン出現

 探知・迎撃システムがない石油・化学・ガス施設、発電所などや半導体生産施設、国家産業団地などは、ドローン・テロに対して事実上無防備にさらされている。実際今年8月には、1級国家保安施設とされる釜山市機張郡の古里原発近くの上空に、ドローンと推定される未確認の小型飛行物体が2日連続で現れた。8月12日午後8時40分ごろ、正体不明の飛行物体3−4機が古里原発周辺の上空を旋回している様子が目撃された。翌日午後9時ごろにも原発周辺の上空で同じ形の飛行物体が目撃され、軍・警察が捜索に乗り出した。

今年8月の1カ月間に、古里原発周辺では6回もドローンが出現したが、操縦者が摘発されたのはこのうち2件にとどまる。今月7日には全羅南道霊光郡のハンビッ原発に正体不明のドローンが接近し、およそ20分間飛行した後、姿を消した。霊光警察署は追跡用ドローンや警察特攻隊(特殊部隊)などを投入し、操縦者を探し出す作業に乗り出したが、まだ容疑者を見つけ出せていない。これに先立ち先月29日には、ハンビッ原発から直線距離で2キロほど離れた駕馬尾海水浴場や桂馬港近くを飛ぶドローンが発見され、原発側が独自に機動打撃隊を出動させたが、操縦者や離着陸地点を確認することはできなかった。警察も捜査に乗り出したが、ドローンの大きさすら把握できなかった。

 原発は、敵の攻撃に際して打撃目標の第1位に該当する国家核心施設で、国家保安目標「カ」級(あいうえお順の『あ』に当たる)施設として管理している。原発は周囲3.6キロ以内を飛行禁止区域、18キロ以内を飛行制限区域に設定しているが、無防備に侵入されたのだ。

 このほかにも、石油化学工場は爆発性や有害性が強い物質を扱っており、爆発事故が発生した場合、大規模な人命・財産被害が懸念される状況だ。昨年10月には、外国人労働者が近くで飛ばした風灯(空に飛ばすランタン)のせいで大韓送油管公社京仁支社(京畿道高陽市)のタンクローリーが爆発し、消防署の推定で43億5000万ウォン(現在のレートで約3億9600万円)の財産被害が生じたこともあった。たまたま飛んできた風灯でもこうした大きな火災が発生したのだから、テロでドローンが使用された場合、その被害はずっと大きいだろうという懸念が持ち上がっている。

アン・ジュンホ記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2019/09/17 11:20