レイバーネットTV
https://youtu.be/HlBs4Isthsc

ニュースは堀切さとみさんの編集で、尾澤邦子さんが担当。4本。中村哲さんへの哀悼の言葉から始まりまった。

@東海第2原発再稼働反対の署名を日本原電本社に受け取らせることに成功したこと。
これまで、頑なに拒否してきたが、圧倒的な市民の前についに受け取らせることに成功。最終目標は、あのおんぼろ原発を再稼働させないこと。まだ運動は続く。
Aつ目は、あの悪の中枢の中曾根康弘(101歳)が亡くなったこと。中でも、彼にとっての「最大の功績」は、国鉄民営化だったらしいと、そのあたりのことを自慢げに話す動画が流れた。
B12月6日の沖縄辺野古新基地建設阻止のュース。塩川の採石場で掘り出された赤土が、運び込まれている。雨の中でも「どんな小さいことでも積み重ねていかなければ…」と地元の方。
C12月9日、「桜を見る会」疑惑にまともに答えることなく、臨時国会は閉会した。その日の夜の官邸前行動。逃げ切ったのはなぜかと、苛立つ市民。韓国のセウォル号の闘いの中で生まれた歌『真実は沈まない』の歌が歌われた。「♪嘘は真実に勝てない♪」「♪決してあきらめてはいけない♪」と夜の空に歌声が響く。


〜中略〜


<目的は史実に目くらましを仕掛け「あったことをなかったことにする」欺瞞の世界に導くこと>

 続いて『TRICKトリック「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』の著者・加藤直樹さんをゲスト迎える。彼の本は2017年の4月『9月、東京の路上で』を取り上げたがそれに続く一冊である。この本は「朝鮮人虐殺はなかった」と巷で言わせ、行政までが動かされる事態になった工藤夫妻の本を取り上げてそれがフェイクであることを一つひとつ検証したもので、非常に読みやすく作られていること、中身は深刻だが、大勢の人に読んでもらう工夫がされていると志真さん。

 加藤さんは、関東大震災の朝鮮人虐殺否定論をインターネット上で見かけるようになったのは、10年位前からという。2010年に工藤美代子が『関東大震災―朝鮮人虐殺の真実』を、夫の加藤康男が『関東大震災―「朝鮮人虐殺」はなかった!』を14年に出版している。こういう本がきっかけになって、ネット上に「…は、なかった」が広がっていった。本に対抗するには、本を出すしかないとこの本を書いたという。ところでこの工藤夫妻の2冊の内容は、ほぼ同じで、タイトルと著者名、出版社を変えて出したという、呆れる本だ。

<タイトルの「トリック」とは何か?>

 工藤夫妻は、朝鮮人は「井戸に毒を入れた」とか、「武装して警官と闘っている」などと当時の新聞記事の写真をネットなどでも流しているので説得力がある。確かに新聞は、9月7日に、「治安維持令」が出来て沈静化するまで、流言を垂れ流していたという。工藤夫妻の本は朝鮮人がこうした、ああしたと他人の著書から引用しているが、引用先をたどれば自説に都合のいいところ以外は切り捨ててある。例えば「…という噂を聞いた」と続く文を意図的に省略いているのだ。

 こんな粗雑な内容の出版は何のためだったのか。加藤さんは、「虐殺はなかった」という意見もあるということを認めさせることにあったと。対立意見があるから教育現場などから朝鮮人虐殺の事実を追放し、そのことには触れない方がいいのではないかという世論を作り出し、忘却させることにあった。小池都知事が朝鮮人被害者の追悼式に追悼文を出さなくなったのも、この工藤らの本がきっかけだったので、出版目的は十分に果たしたといえる。

 加藤直樹さんは、1件1件引用元を突き止めて正しい文脈に直していったその過程が、この労作なのだ。根気と時間のいる仕事である。こういう検証作業は歴史学者など専門家には向かず、素人の、しかもこういうことに関心があり、詳しい人に向いているという。

>>2に続く
http://www.labornetjp.org/news/2019/1211shasin