(台北中央社)第15代総統・副総統選挙は11日投開票され、現職の民進党・蔡英文総統が再選を果たした。蔡氏は同午後9時過ぎ、台北市内で記者会見を開き、「有権者が民主主義と進歩の価値を選んでくれたことに感謝します」と勝利宣言をした。蔡氏の得票数は午後9時5分時点で805万票を超え、対抗馬の野党・国民党の韓国瑜氏を260万票以上上回った。

蔡氏は1956年、台北生まれ。法律を学び、台湾大法律学科を卒業後、米コーネル大ロースクールで法学修士、英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで法学博士を取得した。大学教授、行政院(内閣)大陸委員会主任委員、総統府国策顧問、行政院副院長(副首相)などを歴任した後、2008年に民進党主席(党首)に就任。2012年の総統選では党公認候補として蘇嘉全・副総統候補とのペアで初出馬したが、国民党の現職・馬英九氏と呉敦義行政院長のペアに敗れ、党主席を辞任した。2014年に党主席に返り咲き、2016年の総統選で陳建仁副総統候補とのペアで立候補し、初当選を果たした。

蔡氏は「一つの中国」を巡り、台湾と中国双方の窓口機関が1992年に形成したとされる合意「92年コンセンサス」を受け入れない姿勢を明確にしており、蔡氏の総統就任後、台湾に対する中国の圧力が強まっている。蔡総統は1期目では経済構造の転換を最優先事項に掲げ、大規模インフラ整備計画を打ち出したのに加え、クリーンエネルギーや国防・航空宇宙産業など7つの産業分野での革新を図る計画を推進。過去の国民党一党独裁政権の下で行われた人権侵害やその結果の真相究明を目指す「移行期の正義」にも力を入れ、関連の条例や専門委員会を設置したほか、当時の政治犯の有罪判決を取り消した。

外交面では米国との関係強化や、東南アジアや南アジア諸国との関係強化を目指す「新南向政策」を推し進めた一方、中国の圧力を背景に断交が相次ぎ、蔡政権発足から現在までに7カ国との外交関係を失った。

(編集:名切千絵)

http://japan.cna.com.tw/news/apol/202001110008.aspx
中央社フォーカス台湾 2020/01/11 21:21

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勝利宣言をする蔡総統