武漢肺炎のせいで中国製部品供給に支障が生じ、現代自動車と起亜自動車は10日に韓国国内の工場7カ所の稼働を全面中断する。電子装置をつなぐワイヤリングハーネスという部品の供給が途絶え、在庫が尽きたからだ。世界的な供給網を有し、事情がよかったルノー・サムスンも工場の稼働中断を検討している。韓国国内の自動車生産の80%を占める現代・起亜自が工場を閉鎖したら、およそ8000の協力企業も連鎖的に打撃を受け、その被害は並大抵ではない。中国製部品一つのせいで自動車産業全体がマヒするという、未曽有の事態が起きた。

 韓国とは対照的に、日本のトヨタ自動車は正常に稼働している。一部の中国製部品の調達に支障が生じはしたが、東南アジアや日本国内の協力企業から代替調達することで、大きな支障もなく工場を動かしている。ほかの日本企業もまた、中国に大挙進出していて被害が予想されているが、韓国ほどではない。東南アジアなどに部品供給元を多角化していたおかげだ。特に、2010年の尖閣諸島領有権問題で中国が貿易報復を加えてくると、中国以外の地域に生産拠点を追加建設する「チャイナ・プラスワン」戦略で対中依存度を大きく下引き下げた。

 韓国は、2000年代初めの「ニンニク紛争」や17年のTHAAD(高高度防衛ミサイルシステム)報復などを経験しても、対中依存度を減らすどころか、高め続けてきた。リスクへの備えなき「「中国オールイン」へと突き進み、武漢肺炎問題でたっぷりとその代償を払っている。自動車だけでなく、産業の大部分と経済全体が対中依存度を過度に高めた。韓国の貿易のうち、4分の1が中国一国を相手に行われている。中国からの輸入額のうち64%は素材・部品で、中国国内で生産に支障が出たら、韓国の工場も手を止めなければならない状況だ。中国の成長率が1ポイント下落したら、韓国の成長率も0.5ポイント落ちる。

 中国で、武漢肺炎のような伝染病は今後も発生し得る。構造的に問題を抱えているからだ。また中国は、外交問題を巡り経済で報復することにためらいがない国だ。報復のやり方も手荒で、暴力的だ。こんな中国に対する経済依存度は、今や韓国の主権と安全保障に影響を及ぼすレベルになりつつある。対中依存度を下げることは、切迫した国家的課題だ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2020020880027

2020/02/08 09:59