零細自営業者が集中する卸小売・宿泊・飲食店業種の借入金規模が昨年27兆ウォン近く増えたことがわかった。過去最大幅の増加だ。零細自営業者の事業所得が減り借金で持ち堪えているという分析が出ている。新型コロナウイルスによる肺炎の衝撃が拡大し、自営業者の環境はより一層厳しくなっている。

◇自営業者、第2金融圏からの借入急増

韓国銀行が4日に発表した「2019年10−12月期の預金取扱機関産業別貸付金」を見ると、昨年末の預金取扱機関の卸小売・宿泊・飲食店業種への貸付金は226兆7619億ウォンで前年末に比べて13.3%(26兆5895億ウォン)増えた。昨年の増加率は関連集計を取り始めた2008年以降で最も高かった。

これら業種の貸付金増加率は同じ期間の全産業貸付増加率を大きく上回る。全産業貸付金は昨年末1207兆8000億ウォンで前年に比べ7.7%増えた。

卸小売・宿泊・飲食店業種にはロッテショッピング、ホテル新羅、イーマートなど大手流通企業も含まれるが、これら大企業は主に金利が相対的に低い社債で資金を調達する。預金取扱機関から資金を調達する事業者の相当数は中小企業と零細自営業者と推定される。

卸小売・宿泊・飲食店業種の貸付増加率は2015〜2017年には7%台にとどまっていた。だが最低賃金が急激に上がった2018年に10.7%、昨年が13.3%と大きく増えた。自営業者が貯蓄銀行、相互金融をはじめとする「第2金融圏」の貸付に集まる傾向も目立っている。卸小売・宿泊・飲食店業種の第2金融圏からの貸付は昨年末63兆3883億ウォンで前年同期比30%増えた。

自営業者の負債がこのように増えたのは所得が減って不足した資金を借入で埋め合わせたためだ。統計庁によると、昨年10−12月期の国内世帯の事業所得は前年同期比2.2%減ったと集計された。2018年10−12月期から5四半期連続の減少で、2003年の関連統計作成開始後で最長期間の減少傾向を示した。参入障壁が低い卸小売・宿泊・飲食店業種の参加者が増えたことも貸付増加に影響を及ぼした。昨年10−12月期の卸小売・宿泊・飲食店業種の新設法人は6738社で前四半期に比べて9.2%(566社)増えた。

◇低所得自営業者の信管になるか

急激に増える自営業者の負債が韓国経済の「不良の信管」として急浮上したという評価が出ている。年間所得3000万ウォンを下回る低所得自営業者の延滞率が上昇している点がこれを裏付ける。低所得自営業者のうち90日以上貸付金を返済できていない長期延滞者の割合は2018年末の1%台から昨年9月末には2.2%に増えた。韓国銀行は昨年12月に国会に提出した金融安定報告書で「低所得自営業者は業況不振に耐える余力が不足している。景気が鈍化すれば貸付健全性が急速に悪化しかねない」とした。

新型肺炎にともなう消費急冷の余波で自営業者の貸付不良懸念はさらに大きくなっている。観光客が減って消費が萎縮し、自営業者の体感景気はますます悪化している。韓国銀行によると今月の自営業者の家計収入見通し消費者動向指数(CSI)は前月より8ポイント下落の87となった。金融危機直後の2009年3月に記録した79以降で最も低い。

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3/5(木) 8:43配信