米軍駐留費交渉 韓国に圧力 エスパー氏「韓国人職員休職に」
2020年3月14日 朝刊

 【ソウル=中村彰宏】在韓米軍の駐留経費をめぐり、米韓の交渉が難航している。大幅増を求める米国に韓国が反発、六度の交渉を重ねたが合意に至っていない。米側は在韓米軍で働く九千人の韓国人職員を四月から無給で休職にすると通告し、圧力をかけている。
 エスパー米国防長官と韓国の鄭景斗(チョンギョンドゥ)国防相は先月二十四日に会談し、協議したものの決裂。エスパー氏は会談後の共同会見で「防衛費負担は、米国の納税者に不均衡であってはならない」と強調した。
 韓国は基地内の施設建設費などを負担。米韓メディアによると、米国は二〇二〇年の駐留経費として一九年の五倍となる五十億ドル(約五千五百億円)を要求したとされる。家族の支援費に伴う費用など新たな項目を設けたという。既存の駐留経費を巡る協定は昨年末に切れ、現在は協定がない状態。鄭氏は会見で、大幅増を求める米国と「認識の違いは明らか」と語った。
 米軍は一月末に、韓国人職員の休職を通告。米国防総省は合意できない場合、米軍基地で働く韓国人に賃金を支払う基金が三月末に底をつくと説明している。エスパー氏は、三月末までに合意できなければ「韓国人職員を休職にする」と強調する一方、鄭氏は「そういうことがあってはならない」と述べた。
 韓国の世論調査では九割が負担増に反対。文在寅政権も容易には要求をのめない状況だ。今後、本格化する在日米軍の駐留経費の交渉で米国は日本にも負担増を求めるとみられ、米韓協議の行方が注目される。

東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202003/CK2020031402000131.html