国際航空運送協会(IATA)は17日、世界の航空会社が最大2000億ドル(約21兆5000億円)の金融支援を必要としているとの見方を示した。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて各国政府が相次いで入国制限を発表し、旅客需要は急減している。
航空各社は大幅な減便に追い込まれており、資金繰りへの懸念が高まっている。

IATAは、航空会社が急激な収入減に対処するためには、政府による直接的な金融支援や、融資保証などが必要だと指摘。
フィナンシャル・タイムズ(FT)などによると、チーフエコノミストのブライアン・ピース氏はその規模として最大2000億ドルが必要だとの見解を示した。

航空会社の財務状況に対しては警戒感が高まっている。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは17日、
欧州航空会社の格付けを相次いで引き下げた。対象企業には独ルフトハンザ航空や、格安航空会社(LCC)のイージージェットなどが含まれる。

ムーディーズはこれらの航空会社について「少なくとも今後3カ月にわたって旅客数が大幅に減少する」とみる。

感染の拡大を食い止めようと各国政府は、外国人の入国制限を相次いで導入しているほか、自国民の海外への渡航自粛を呼びかけている。
航空各社は旅客便を大幅に減らしているが固定費の負担が重く、キャッシュフロー(現金収支)が悪化している。

ノルウェーLCCのノルウェー・エアシャトルが従業員の最大5割を一時解雇すると発表するなど影響が広がっている。

すでに世界の航空大手が加盟するワンワールド、スカイチーム、スターアライアンスの3航空連合は各国政府などに対し支援を求める共同声明を発表した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56930120Y0A310C2TJ1000/