新型コロナウイルス禍が続く韓国で、総選挙が行われ与党が圧勝した。政権運営は安定するものの、経済の大幅な落ち込みも予想されている。この機会に、対日関係の改善にも取り組んでほしい。

選挙戦は、政府の感染予防対策が焦点となった。韓国では南東部の大邱(テグ)で、キリスト教系の教会を中心に集団感染が起き、一日に九百人を超える感染者を出した。

文在寅(ムンジェイン)政権は二〇一五年に起きた中東呼吸器症候群(MERS)の経験を生かし、一日二万件の検査能力を整備。積極的に検査を進めた。手軽なドライブスルー検査も開発し、世界に広まった。

感染者が増え、医療崩壊を招くとの懸念もあったが、軽症者を収容する施設を準備し、最悪の事態を免れた。迅速な情報公開にも努め、市民の不安解消に貢献した。

韓国の一連の対策は、「コロナ対策のモデル」として国際的にも評価が高く、日本が参考にできる点も少なくない。文大統領は危機管理能力が評価され、支持率が跳ね上がっていた。

韓国での感染者数は、ここ数日三十人以下と落ち着いている。総選挙については、朝鮮戦争(一九五〇〜五三年)中も実施されたことから、予定通り進められた。

投票者はマスクが義務化され、前の人と一定の距離を保つなど厳しい防疫措置が取られた。

症状のない自宅隔離の人にも投票の機会が与えられ、66・2%という実に二十八年ぶりの高投票率を記録した。

厳しい状況下で、民主主義の大切なプロセスである選挙が大きな問題なく実施できた。このことは、外出禁止が続く世界の人たちにも、希望を与えたはずだ。

今回の結果で、任期が残り二年となった文政権は安定した国会運営が可能となった。対日姿勢もより強硬になるとの見方もある。

国政運営はそう簡単ではない。文大統領自身、本格的な経済危機が始まるとの見通しを示した。

輸出依存体質なうえ、自営業者の比率が高い韓国では、今後経営難に直面する企業が増え、雇用問題が深刻化するのは間違いない。

一方日韓間には、徴用工を巡る訴訟がある。原告側が進める被告企業の資産現金化が、六月にも行われるとの見方も出ている。

歴史もからみ解決は簡単ではないが、今は理念や原則にこだわらず、協力すべき時期だ。与党の圧勝を好機として、日韓関係の改善を進めてほしい。


2020年4月18日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020041802000173.html

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