使用済みマスクポイ捨ての罰金は平均月収! 新型コロナで死者ゼロのベトナム、在留邦人が見た衝撃の封じ込め策とは
4/18(土) 11:20配信

●SARSで苦しんだ経験を生かし、初期段階から対策を徹底

 全世界で200万人以上の感染者と14万人以上の死者を記録している新型コロナウィルス。感染拡大が続く中、アジアで感染者268人、死者ゼロという衝撃的な抑え込みに成功しているのがベトナムだ。人口9600万人の同国がいかにコロナ禍をコントロールしているのか。現地在住の日本人に聞いた。


「世界ではニュージーランドの新型コロナ封じ込め成功が話題になっています。日本でも台湾の対策が評価されていますが、実はベトナムは相当凄い。新型コロナによる死者はゼロ。ハノイやホーチミン、ダナンという大都市の外出禁止令は1週間延長になりましたが、地方都市はすでに解かれています」

 こう語るのは、ハノイ市内で日系ダンススタジオを運営する「A-Life ダンススクール」の根本優樹マネジャーだ。神奈川県横浜市出身の根本さんは東京・自由が丘などで運営されている「アンジェロ・ダンススタジオ」でダンス指導協力を行う傍ら、モスクワ、パリなど海外でパフォーマンスを続け、大会でも優勝してきたが、約3年前にハノイに拠点を移した。

 地元の子供たちに大人気というスクールは現在、一時休止中。人の少ない時間帯で、健康維持のための散歩や食料品の買い出し以外は、基本自宅待機を続けているという。ロックダウン生活の中で、世界各国の被害状況をネットニュースで目にするたびに、ベトナム政府が打ち出した感染拡大防止策の有効性を実感している。根本さんはこう説明する。

「ベトナムはSARS(重症急性呼吸器症候群)で苦しんだ経験があったので、対策は徹底していました。初期段階で韓国と中国からの入国は禁止にしていましたが、それ以降も公安が各家庭を訪問しにきます。パスポートをチェックしていて、もし、ベトナムへの入国が3月1日以降であれば、そのまま病院で検査です。私の家にもパスポートチェックにやってきました。ある村で感染者が出た時は、集落単位でロックダウン。近くのマンションで感染者が出たケースでは、その建物の全住民が完全外出禁止になりました。買い物ができない住民の代わりに、政府が食料品を支給しています」

● マスクなしの外出、マスクのポイ捨てなどに細かい罰則


 また、新型コロナに関する規律違反者に対する罰則は特に徹底しているという。

「3人以上での外出は禁止。マスクをせずに外出すれば罰金30万ドン(約1500円)、コロナに感染していることを意図的に隠していると200万ドン(約9500円)。コロナを隠していることよりも罪が重いのは、使用済みマスクのポイ捨てで、罰金700万ドン(約3万2000円)。この額は、現地の平均的な給料の1か月分以上です。こうした罰則により、人々の抑え込みに対する意識も高まっています」(根本さん)

 2002年から03年まで感染拡大したSARSの被害を受けたベトナム。市民の主な交通手段がバイクということもあり、マスク文化は根付いていたが、さらに、マスクなしの外出、マスクのポイ捨てなど、細かい罰則を設けることで、市民の規律をコントロールしているようだ。

 コロナ問題が顕在化する以前、バイクで大渋滞していたハノイ中心街。ロックダウンの現在は、交通量はまばらで、人影は少ない。

「平常時の何十分の1の交通量です。信じられない光景です。それでも店舗は一部再開されました。2週間程度でベトナム国内の新型コロナウィルスは一旦、終息するのでは、という期待感も出ています」(根本さん)

 コロナによる死者はゼロ。パンデミックの脅威をこれまでのところ、見事にコントロールしているベトナムは、ロックダウンの日々から、穏やかな日常を取り戻そうとしている。
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