「休校で仕事を休んだ保護者への助成金は、風俗業は対象外」「朝鮮学校幼稚部はマスク配布の対象外」――。新型コロナ対策で政府や自治体の差別的な運用が批判される事例が目立つ。感染拡大防止の観点からは明らかに不合理な差別が、なぜ行われるのか。

 「コロナで急に特別な差別が始まったのではなく、普段の差別や不平等が『見える化』されたにすぎない」。外国人児童の調査・支援を行う小島祥美・愛知淑徳大教授はそう語る。

 さいたま市は3月、保育園・幼稚園職員にマスクを配ったが、「各種学校」に分類される朝鮮初中級学校幼稚部は、所管でないとして当初は対象外だった。「これまでも各種学校は健康を軽視され、学校での健康診断を定めた法律の対象でもなかった。非常時でも従来の発想の延長線上で差別がある。コロナは国籍を選んで感染するわけではない。こうした不平等は社会全体にリスクとなって返ってくる」

 公の政策だから線引きに理由は付される。マスク非配布は「市が監査できる所管施設でない」からだし、風俗業の除外は「雇用維持のための既存の助成金制度にある同様の規定を適用した」だけ、と。これらは差別ではないのか。


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