日本の輸出規制に対応してきた韓国産業通商資源部はこのほど、輸出規制、戦略物資管理を担当する「局」クラスの貿易安全保障組織「貿易安保政策官」を新設した。日本が示した輸出規制の理由を解消し、規制を維持する日本の名分をなくす狙いだ。

産業通商資源部は日本政府が韓国に対する輸出規制緩和措置を解除するなど、今月末までに態度表明を行うよう求めている。

産業通商資源部は12日、政府世宗庁舎で記者会見し、日本の輸出規制について、「速やかな懸案解決に向け、日本側が韓国に対する輸出規制緩和の理由として挙げた制度改善を迅速かつ果敢に進めてきた」とした上で、「輸出規制とホワイト国リストに関する問題解決策を巡り、日本側の具体的な立場を今月末までに回答するよう求めた」と説明した。

これに先立ち、日本は昨年7月、半導体・ディスプレーの重要素材であるフッ化水素、フッ化ポリイミド、EUVフォトレジストの3品目について、包括許可を個別許可に切り替え、韓国をホワイト国(戦略物資輸出優遇国)から除外する措置を発表した。

当時日本側は輸出規制について、▲輸出規制人員・組織がぜい弱▲韓国の従来型兵器のキャッチオール規制(戦略物資・民需物資を大量破壊兵器に転用する可能性がある国に対する輸出規制)の法的根拠が不十分▲3年間にわたり、両国の政策対話が開かれていないことによる信頼低下−−を根拠に挙げた。

産業通商資源部は日本の輸出規制以降、韓国の輸出規制制度の運営に問題はないとの立場を強調しながらも、日本側が求める方向に沿って、輸出管理体制を強化してきた。日本が挙げる輸出規制の理由を取り除き、規制を解除すべき名分とする狙いだ。

産業通商資源部はまず、輸出規制など貿易・安全保障関連の懸案が発生した場合、効率的かつ迅速に対応するため、組織を一元化し、専門性を強化するなど組織再編を実施。先月14日に同部と傘下機関の職制施行規則一部改正令案の立法予告を行い、今月6日に実施した。

貿易投資室内に新設される局長級組織「貿易安保政策官」は戦略物資の輸出許可、技術流出防止など貿易安全保障業務を担当する。下位組織には▲貿易安保政策課▲貿易安保審査課▲技術安保課を置く。

貿易安保政策課は貿易安保の司令塔としての役割を担う。貿易安保政策を統括、立案し、日本の輸出規制など内外の貿易安保関連の懸案に対応する。違法輸出の取り締まり、自主順守貿易取引者(CP)制度運営、教育など戦略物資輸出企業に対する支援業務も行う。

貿易安保審査課は戦略物資の輸出許可を含め、状況許可、経由・積み替え許可などの輸出規制業務を担当する。戦略物資などの判定業務と輸出目的確認書の発行、疑わしい取引者の管理業務なども担当する。

技術安保課は国の重要技術の管理と輸出承認業務、重要技術を保有する企業の合併・買収(M&A)と安全保障関連企業に対する外国人の投資審査など技術保護業務を統括する。国際輸出規制体制など貿易安全保障関連の国際協定をはじめとする国際協調業務も担当する予定だ。

また、韓国政府が4月18日に公布した改正対外貿易法は6月19日の施行を控えている。戦略物資ではないものの、従来型兵器に転用される可能性が高い物資を輸出する場合、政府の許可を義務付けるキャッチオール規制の法的根拠を明確にする内容だ。

韓国政府は日本側に今月末までに輸出規制とホワイト国リスト問題の解決に向けた方策と立場を表明するよう求めた。

貿易通商資源部の李浩鉉(イ・ホヒョン)貿易政策官は「日本側が輸出規制を取る際に提起した韓日政策対話中断、従来型兵器キャッチオール規制、輸出管理組織・人員の不十分という3つの理由は全て解消された」とし、「日本政府が懸案解決に取り組むべき必要十分条件が全て整った。輸出規制強化措置の原状回復をためらう理由はない」と指摘した。

李政策官はまた、昨年7月1日に日本政府が韓国に対する輸出規制強化措置を発表してから近く満1年を迎える状況で、これ以上規制を先延ばしにはできないとし、「新型コロナウイルスの克服過程で両国は共に苦しい状況にあり、輸出管理分野で両国企業に希望を与える成果が速やかに上がることを期待している」と付け加えた。

2020/05/13 08:51/朝鮮日報日本語版
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