日本政府が去年から韓国向けの輸出管理を厳しくしたことをめぐり、韓国政府は日本に対し、措置の見直しに向けた立場を31日までに明らかにするよう求めています。韓国メディアは、日本政府から前向きな姿勢を引き出せなければWTO=世界貿易機関への提訴の手続きを再び進める可能性もあるという見方を伝えています。

日本政府は、韓国側の貿易管理の体制が不十分だなどとして、去年7月、半導体の原材料など3品目の韓国向けの輸出管理を厳しくし、翌月には輸出手続きを簡略化する優遇措置の対象国から韓国を除外しました。

これをめぐって韓国の産業通商資源省は、貿易管理に関する法律を改正し来月施行されることや、「貿易安保政策官」のポストを新設したことなどをあげ、貿易管理の体制強化に必要な措置は講じたと主張しています。

そのうえで日本政府に対し、輸出管理を厳しくした措置の見直しに向け具体的な立場を、31日までに明らかにするよう求めています。

韓国政府は去年11月、輸出管理をめぐる日本政府との協議の進展に向け、日韓の軍事情報包括保護協定=GSOMIAを維持するとともに、WTOへの提訴の手続きを停止しましたが、政権与党内では、半年がたっても目立った成果がないとして不満の声が出ています。

このため韓国メディアは、日本政府から前向きな姿勢を引き出せなければ、WTOへの提訴の手続きを再び進める可能性もあるという見方を伝えています。

■日本政府 「一定の進展が見られる」

日本政府としては、韓国側が法律を改正するなど貿易管理の体制強化に動いていることについて、一定の進展が見られると評価しています。

ただし、韓国側が求める措置の見直しについては、韓国の貿易管理が実効的に運用されているかを確認する必要があるとして、あらかじめ期限を区切って判断するものではないとしています。

日本政府は、こうした考え方を局長級の政策対話などを通じて韓国側にも伝えているとしています。

日本は去年7月に韓国向けの半導体の原材料など3品目の輸出管理を厳しくしましたが、軍事目的で利用されないことが確認されれば、速やかに許可を出しているとしています。

またその後、3品目のうち「レジスト」については、適切な輸出の実績が積み上がったとして、去年12月には特定の企業どうしの輸出手続きを簡略化できるよう運用を一部見直しています。

■最近の日韓関係をめぐる動き(※ソース元参照)


2020年5月31日 4時13分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200531/k10012452081000.html