韓国の国会で、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の解決を目指し、前の議長などが提出したものの先月廃案となった法案について、最大野党などの議員が8日、同じ内容で再び提出しました。

法案は日韓請求権協定に反しない形だとして日本側に評価する声もありましたが、前回は一度も審議されなかっただけに、成立するかどうかは不透明です。

韓国の国会では、ムン・ヒサン(文喜相)前議長が去年12月、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の解決を目指す法案を、与野党の議員たちと共同で提出しました。

法案は日韓両国の企業や国民からの寄付金で財団をつくり、日本企業に勝訴した原告などに慰謝料を支払うとする内容で、1965年の日韓請求権協定に反しない形だとして日本側に評価する声もありましたが、先月30日、議員の任期満了に伴って廃案となりました。

しかし、新しい国会議員の任期が始まったことを受けて、最大野党と無所属の議員合わせて12人が8日、同じ内容の法案を再び提出しました。

理由としては、韓国の裁判所が今月1日に日本企業宛ての書類をホームページに公開したことで、差し押さえられた日本企業の資産の売却に向けた手続きがことし8月以降、進む可能性が出ており、そうなれば日韓関係がさらに悪化することを挙げています。

ただ、前回は日本企業が賠償すべきだとする原告側が反対し、大統領府も懐疑的な見方を示す中、一度も審議されずに廃案となった経緯があるうえ、今回の再提出には与党の議員が加わっておらず、成立するかどうかは不透明です。


2020年6月8日 18時03分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200608/k10012462881000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_001