貿易戦争やサイバー戦争などで対立を深める米国のドナルド・トランプ政権と中国の習近平政権。「新冷戦」は、いつ「熱戦」になっても不思議ではない。コロナ禍のなかでも東シナ海や南シナ海、台湾海峡などで領土的野心を隠さない中国に対し、米国も空母など戦力を展開して対抗している。軍事衝突の引き金や主戦場はどこになるのか。

(中略)

1972年にリチャード・ニクソン政権が中国との国交を正常化して以来、「最悪」のレベルと認識される現在の米中関係だが、両国はこれまでのところ、互いに威嚇する段階にとどまっている。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「経済的結びつきもあるため、全面戦争に至るとは想定しがたいが、米国は大統領選を控え、支持を得るために目線を外に向ける可能性もある。一方、中国は新型コロナをめぐる政権の対応で募った国民の不満を米国に向けようとするかもしれない」と米中の情勢を分析する。

 そうしたなかで、南シナ海などがで偶発的な「局地戦」のリスクがあるという。

 「中国の偵察機が、空母への接近を理由に、演習中の米軍のP−8哨戒機を撃墜するなど、小競り合いになる可能性もある」と世良氏。

米空母に比べると能力は劣るが、中国軍は航空戦力などとの統合運用で台湾海峡や南シナ海で米軍の進入を阻止する狙いを持つ。4隻以上の空母運用を目指しているとされ、原子力空母を開発するともいわれている。

 「かつては米空母が出れば中国は手を引いたが、中国は米空母に対するミサイル攻撃ができるとの自信から、海軍力をアップデートしており、米空母は手前から飛行機を発艦させる必要が出てくるなど戦い方が変わってきている。中国がすぐにひれ伏すともかぎらない」と世良氏。

 米軍の圧勝となるとは限らず、局地戦が泥沼化することもありうるという。情勢がこじれた場合、どうなるのか。

 「中国が強襲揚陸艦やミサイルなどを使って台湾侵攻に踏み切れば、第三次大戦に発展してもおかしくない。鎌倉時代の元寇のように朝鮮半島を管轄下に収め、中国の武力を背景に北朝鮮が南進する可能性もある」

 尖閣諸島周辺海域でも連日、中国公船が侵入してきた。日本も蚊帳の外では済まされない。

 世良氏は「南シナ海は日本のエネルギー供給ルートになるため、日本も集団的自衛権を行使するかもしれない。イージス・アショア(地上配備型迎撃システム)の配備中止も決定されたが、代替案を早急に検討すべきだろう」と語った。


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