米大統領選(11月3日投開票)に向けた共和党大会が24日開幕し、再選を狙うドナルド・トランプ大統領(74)を、党候補に正式指名した。民主党候補のジョー・バイデン前副大統領(77)に「高齢不安」や「認知症疑惑」「息子の中国疑惑」が浮上しているため、トランプ氏は最終日の27日まで連日党大会に登場して、自身の健康やバイタリティー、対中強硬姿勢などをアピールする。米メディアの世論調査では、バイデン氏がリードしているが、トランプ氏も猛追している。習近平国家主席率いる中国も「トランプ再選」を警戒してか、決定的な対立を避けるような動きも見える。

 「米史上、最も重要な選挙に勝利しなければならない」「中国から新型コロナウイルスが入ってくるまでは、経済はとてつもなくうまくいっていた」「民主党を勝利させてはならない」

 トランプ氏は、南部ノースカロライナ州シャーロットで開幕した共和党大会で、こう演説した。中国と民主党への怒りを爆発させた。党大会は2日目以降、中国発の新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、オンラインで開催する。

 候補者は通常、ハイライトとなる最終日の党候補指名受諾演説に集中し、それ以外の露出を控えるケースが多いが、米メディアは「トランプ氏が連日登場する見通しだ」と伝えた。党大会を最大限利用し、自身をアピールする狙いがあるとみられる。

 党大会に先立ち、トランプ氏の選対本部は23日夜、「2期目の公約」を発表した=別表。

 対中政策では、「新型コロナウイルスを世界に拡散させた責任を取らせる」と強調した。経済分野でも、「中国から100万人分の製造業の雇用を取り戻す」と訴えた。さらに、新型コロナ対策を推進し、「(米国を)来年には正常化させる」との目標も掲げた。

 バイデン陣営から、世界最悪の被害(感染者=約561万人、死者=約17万人、WHO24日調べ)を出している米国の新型コロナ対応を批判されており、これを強く意識した内容といえる。

 トランプ氏は23日放映されたFOXニュースの番組でも、「バイデン氏は中国に飼われている。バイデン氏が勝てば米国は中国の持ち物になる」などと強調した。

 党大会の演説では、外交について「同盟国に公平な負担額を支払わせる」とし、日本を含む同盟国に負担増を求めていく考えを示した。

 強力な援軍も準備している。トランプ陣営は23日、党大会の登壇者リストを発表した。

 初日(24日)には、次の有力な共和党指導者の一人とされ、4月にキャンペーン「ストップ コミュニスト チャイナ(=中国共産党を止めろ)」を立ち上げたニッキー・ヘイリー前国連大使や、黒人男性暴行死事件の過激な抗議デモを銃で威嚇した中西部セントルイスの夫妻が登壇。25日の同事件3カ月を前に「法と秩序」をアピールした。

 25日はメラニア夫人や、マイク・ポンペオ国務長官、26日はマイク・ペンス氏らが演説。27日は長女のイバンカ大統領補佐官らが登壇する。

 こうしたなか、米左派メディアが持ち上げてきたバイデン氏の勢いに、かげりが見られる。

 バイデン氏が11日、大統領候補にカマラ・ハリス上院議員を選んだことを受けて、CNNが行った世論調査(12〜15日)で、バイデン氏支持が、前回調査(6月2〜5日)比5ポイント減の50%、トランプ氏支持は5ポイント増の46%で、その差は4ポイントとなったのだ。2カ月足らずで10ポイントも差が縮まった。「バイデン−ハリス旋風」は目立っていない。

(続く)

夕刊フジ 8/27(木) 16:56
https://news.yahoo.co.jp/articles/2323f7c88c74ca42d3d1c2711d03a18ebda4eb87