【北京=三塚聖平】インドと国境を接する中国の人民解放軍西部戦区の報道官は8日までに、インド軍が7日に北部ラダック地方の係争地域で事実上の国境である実効支配線(LAC)を越え、「銃を発砲して威嚇した」とインド側を非難する談話を発表した。両国は事態打開に向けて動いているが、現地では緊張が増す状態となっている。

 談話によると、インド側がラダック東部のパンゴン湖南岸の地域に入り、交渉にあたっていた中国国境部隊に対して威嚇射撃をしたという。それに対し、中国側の部隊が「現地情勢を安定させるため、対応措置を取ることを余儀なくされた」と説明している。

 報道官は「インドの行為は中印双方の合意・協定に深刻に違反し、地域の緊張した情勢を押し上げる」と強調。その上で「深刻な軍事挑発行為で、非常にたちが悪い」と非難した。

 両軍の間では6月、ラダックの別の地点でインド軍20人が死亡する大規模な衝突が起きており、緊張が継続している。中国の魏鳳和(ぎ・ほうわ)国務委員兼国防部長は4日、インドのシン国防相とモスクワで会談。両国の国防相が会談するのは6月の衝突後初めてで、事態の緩和などについて意見交換をしている。

ソース
産経新聞 2020.9.8 13:12
https://www.sankei.com/world/news/200908/wor2009080007-n1.html