「戦狼外交」、ますます強硬に

 欧州各国の中国に対する姿勢が厳しさを増している。伝統的に人権問題を重視してきた欧州外交だが、特に香港国家安全維持法の適用や新疆ウイグル自治区に対する非人道的な政策などへの批判が拡大。巨大市場である中国との経済関係重視もあって、これまで比較的取り上げられることが少なかった南シナ海などへの海洋進出や台湾問題にも矛先が向けられている。

 米国との対立が激しくなる一方の習近平政権は、トランプ政権と距離を置くドイツをはじめとする欧州各国への外交攻勢をかけたものの、いずれの国でも厳しい姿勢を突き付けられ、見通しの甘さを露呈し、むしろ孤立感を強めた形だ。コロナ後の世界に向け、さらなる強硬・強権的な「戦狼(せんろう)外交」を展開する中国と、欧米をはじめとする民主主義陣営との対立が過熱する中、新たに発足した日本の菅政権の対中姿勢も問われている。(時事通信社解説委員、元パリ特派員、市川文隆)

時事ドットコム 09月29日 15:00
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パリのエッフェル塔を臨む広場で中国政府のウイグル族弾圧に抗議して中国製品ボイコットを呼び掛けるウイグル人社会のメンバーと支持者ら=2020年8月16日、パリ【EPA時事】

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