川崎市川崎区の多文化交流施設「川崎市ふれあい館」などに在日コリアンを脅迫するはがきを送ったなどとして、威力業務妨害の罪で起訴された川崎市の元職員、荻原誠一被告(70)の初公判が23日、横浜地裁川崎支部(江見健一裁判長)であった。被告は「間違いございません」と起訴内容を認めた。検察側は懲役2年を求刑。弁護側は執行猶予を求め、即日結審した。判決は12月3日。

 検察側は、特定の外国籍の人々を殺害するなどといった差別的、悪質な脅迫文のはがきを1カ月弱の間に2度送付しており「悪質性が顕著」と指摘した。

 動機に関しては、被告が市役所在職中、当時の部下職員に差別的な発言をしたとして問題視され、不本意な謝罪をさせられたとして恨み続けていたと説明。被告は弁護側からの質問に対し、脅迫文の差出人にこの職員の名前を使うことで「(元部下を)陥れようとした」と述べた。

 公判では、ふれあい館職員が被害者として意見を陳述。「(犯行は)在日コリアンの存在そのものを否定するヘイトスピーチであり、差別を動機とする犯罪、ヘイトクライムです。『ねぇ、僕たちは殺されてしまうの?』とおびえた子どもの声が、職員の心にずっとある」と訴えた。

 起訴状によると、被告は昨年12月31日ごろ、ふれあい館宛てに「在日韓国朝鮮人をこの世から抹殺しよう」などと書いたはがきを送付。ほかに市内外の学校9校にも爆破予告などの脅迫状を送り、業務を妨害したとされる。

東京新聞 2020年10月23日 19時44分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/63834

https://i.imgur.com/PHwQt56.jpg
川崎ふれあい館(公式HPより)