2020年11月13日 10時01分

「出て行け。韓国にはうんこをプレゼントします」などと書いた文書とともに、ビニール袋入りの人糞(じんぷん)を入れた封筒を2019年1月から5回にわたり、駐新潟大韓民国総領事館などに送りつけ、威力業務妨害罪に問われた男性。

このような行為は、はたして威力業務妨害罪にあたるのだろうか。

一審(広島地裁令和元年9月9日判決)は威力業務妨害罪が成立するとしたが、弁護人が控訴。「公館(大使館や領事館)の関係職員を不快な気持ちや侮辱された気持ちにさせることはあっても、畏怖させるに足りる状態にまでは至らせてはいない」などと主張した。

しかし、広島高裁は控訴を棄却し、一審と同じように威力業務妨害罪が成立するとした(広島高裁令和2年2月18日判決)。

そもそも、どのような場合に威力業務妨害罪が成立するのだろうか。



●威力業務妨害罪が成立するには?

威力業務妨害罪は「威力を用いて人の業務を妨害した」場合に成立する(刑法234条)。つまり、単に業務を妨害しただけではなく「威力を用いて」おこなうことが必要とされる。

ここにいう「威力を用いて」にあたるかどうかについては、たびたび争われることがある。

では、「威力」とはなにを意味するのか。

この点、威力業務妨害罪における「威力」とは、客観的にみて被害者の自由意思を制圧するに足りる勢力であるとし、現実に被害者が自由意思を制圧されたことは要しないと示した裁判例(最高裁第二小法廷昭和28年1月30日判決)がある。

実際に「威力を用い」た場合にあたるとした事例としては、被害者の机の引き出し内に猫の死がいを入れておき、被害者に発見させた事例(最高裁第二小法廷平成4年11月27日判決)やキャバレー開店披露の日に客席で牛の内臓やにんにくをコンロで焼いて悪臭を放った事例(広島高裁岡山支部昭和30年12月22日判決)、弁護士の業務用かばんを奪取し隠匿した事例(最高裁昭和59年3月23日判決)などがある。

●人糞は「危険物」?「威力を用いて」にあたる?
     ===== 後略 =====
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