韓国で新型コロナウイルスの「第3波」が拡大し、1日当たりの新規感染者が12日、過去最悪の1030人に達した。

文在寅政権は徹底的な検査や隔離による「K防疫」を誇ってきたが、病室や医療従事者が不足し、
ワクチン確保も日米欧などに比べて遅れているとの批判が高まっている。

文大統領は13日、今年2月以来となる緊急会議を招集し「コロナ拡散阻止に向け、絶体絶命の危機だ。K防疫の成否をかける」と述べた。
感染者は、南東部大邱で集団感染が起きた2月の第1波や夏の第2波よりも深刻だ。

医療崩壊の危機は、感染者の7〜8割が集中するソウルなど首都圏で高まっている。
一部では隔離病室が不足し、患者の他地域への搬送が行われている。政府は14日、医療支援のため、軍の医官や特殊部隊員ら400人以上を保健所などに投入した。

政府に対し、移動や店舗営業の制限を5段階の最も厳重なレベルに引き上げるべきだとする声が上がるが、丁世均首相は14日、
「社会的な共感が必要。選択できる最後のとりでだ」と、経済への影響なども考慮し、慎重姿勢を示した。

ワクチンの確保も進んでいない。保健当局は国民5200万人の85%に相当する4400万人分を確保したとするが、欧米先進国などの数分の1の低水準だ。
政府のワクチン確保の当初の目標は、国民の60%分と低かった。国内製薬会社によるワクチン開発を期待して支援してきたが、国内感染者が少なく、臨床試験も進まない状況だ。

朴凌厚保健福祉相は「外国で2、3カ月間接種して副作用が検証された後、われわれが接種するのが正しい順序だ」と説明するが、
実際に導入時期が決定しているのは、来年1月〜3月の英アストラゼネカ製の1000万人分だけで、それ以外はめどが立っていない。

大手紙の中央日報によると、高麗大九老病院の金宇柱教授は「K防疫に成功したとうぬぼれ、他国にワクチンで追い越された。
多くの先進国が正常化する中、韓国は社会的距離の維持を続けなければならないかもしれない」と指摘した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/74287