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▲「各自図生の世界と地政学」、ピーター・ゼイハン著、ホン・ジス訳、キムアンドキムブックス

ジョー・バイデン大統領が就任して2週が過ぎた。バイデンは多くの変化を公約したが前任のドナルド・トランプ時代と比較すれば、まだ大同小異とみられる。特に米国が世界秩序からますます足を抜く傾向はバイデン政府でもより一層はっきりすると予想される。

世界的地政学戦略家であるピーター・ゼイハンが書いた『各自図生(各自が生き残る方法を探る)の世界と地政学』(英語表題:Disunited Nations: The Scramble for Power in an Ungoverned World(2020/3/3), 日本語未訳)は、これまで世界を「巡回査察」してきた米国のこのような「不在」を前提にした世界秩序の変化を予測した本だ。

私たちとしては東北アジアにおける構造変化に最も関心が向く。ゼイハンは中国が遠からず米国に追いつくことに絶対に同意しない。かえって中国は失敗する可能性が高く、成功神話の終焉を告げるだろうと主張する。それも10年以内に。

ゼイハンの見解によれば中国は金融・消費・エネルギー・原材料輸入・商品輸出・製造業などが互いに同時に組み合わさった危機に直面している。米国がそうしたように必要に応じて武力を行使し、原材料と輸出市場を確保したり国内経済を多角化する力量が中国には全くない。

今まで中国の浮上を可能にした条件の幻想的な組み合わせが乱れた場合、中国はめざましい浮上にふさわしい強さの凄惨な墜落を味わうことになる。これらの条件は過去、いつも中国の統制から抜けており、今もそうなので中国の墜落は既定事実であり、単にその時期がいつかがカギだという。

一方、日本に対しては甘い評価を下している。1985年9月、ニューヨーク・プラザ合意後「失われた30年」の苛酷な体験をした日本は超強大国モードを再稼働し始めたと見る。日本はとっくに輸出中心の経済から脱皮し、生産施設を他国に移転してその国の市場で商品を販売する「ディソーシング(desourcing)の達人」になった。為替レート、軍事的・政治的障害物、関税障壁の不利益から自由になった。

ゼイハンによれば米国は非公式に米国に代わるアジア地域盟主に日本を指名した。米国は日本が直接、中国を相手にできるように日本政府に軍事行動を制限する憲法条項を再解釈せよと公式に促した。また、米国は情報共有と軍事技術移転を通じて日本をできるだけ恐るべき存在にしている。アジアで葛藤が終われば、日本が優位を占める根本的に新秩序の夜が明けるだろうというのがゼイハンの展望だ。

そうなれば最も極端な状況変化は韓国と北朝鮮が体験することになる。ロシアが衰退し、米国が手を引き、中国が崩壊か後退かの岐路に立つ様になれば選択肢はほとんど消えることになる。再び浮上する日本と事実上経済的に融合する道を模索することが最も賢明な選択だろうとゼイハンは話す。

日本は韓国が構造的な経済問題を解決するのに役立つ唯一の国、海外市場への接近を助けることができる唯一の国だろう、とゼイハンは主張する。このようなゼイハンの提言が韓国でどのように受け入れられるかは分からないが、日本の再浮上にともなう国際力学の変化に深刻に対峙しなければならないだろう。

この本はアジアだけでなく世界のほとんどすべての地域における「チェス盤の変化」を予想した。失敗した超強大国ロシア、逆風に合うドイツ、盟主になろうとするフランス、イランとサウジアラビアそしてトルコの中東覇権争いなどに対しても博学な知識と精通した情報に基づいて深みのある分析をしている。

ハン・ギョンファン記者

ソース:中央サンデー(韓国語)“東北アジア新しい地図、中国至高日本浮かび上がる”
https://news.joins.com/article/23987158