【ソウル=建石剛】今月26日から新型コロナウイルスのワクチン接種が始まる韓国で、政府のワクチン政策に対する不満が高まっている。ワクチン確保が後手に回り、経済協力開発機構(OECD)加盟国37か国の中で接種開始が最も遅くなる上、感染リスクの高い高齢者への接種も延期されたためだ。

大韓医師協会の幹部で、予防医学を専門とする高麗大の崔在旭チェジェウク教授は19日、ソウルの外国人記者クラブで記者会見し、「各国のワクチン確保はほぼ戦争だ。政府がリーダーシップを発揮できず、確保に失敗した」と、政府の防疫政策を痛烈に批判した。

 韓国では、英アストラゼネカ製ワクチンが使われる。当初は重症化リスクの高い高齢者を含む約64万9000人を先行接種の対象と見込んでいたが、同社製ワクチンは高齢者の有効性のデータが不足しているとして、接種対象を65歳未満に引き下げた。韓国政府は計7900万人分のワクチンを確保したと説明するが、他社製は供給日程が確定していない。先行接種の対象者は、高齢者施設の一部入所者やスタッフなどにとどまり、約27万2000人にまで減った。

 文在寅ムンジェイン政権は、日本などと比べて感染者を抑え込めたとして、自国の防疫対策について「K(コリア)防疫」と名付けて成功をアピールしてきたが、ここにきて逆風に見舞われている。有力紙・中央日報は17日の社説で、日本のワクチン接種開始に言及し、「他国がワクチン確保の競争を始めている間、韓国はK防疫の広報に熱を上げていた」と酷評した。


https://www.yomiuri.co.jp/world/20210220-OYT1T50043/