文在寅が「外交」に意気込むウラで…

 韓国、文在寅大統領の任期が残すところあと1年となった。

 5月21日には米韓首脳会談、30〜31日には環境ビジネス分野の国際官民連携ネットワーク(P4G)サミット、来月11〜13日には英国で開催される主要7か国首脳会議(G7)への出席が控えている。

 任期1年を残してすでに“死に体化”が始まっている文政権がここで成果を出せればレームダック化から脱却できる可能性もあるが、じつはほとんど期待できそうもない。最悪の場合、世界中から総スカンを喰らう可能性すら出ている。

 文在寅大統領は就任から丸4年を迎えた5月10日の特別演説で、ここからの外交日程の狙いについて概ね下記のようなことを述べた。

 ◇米韓首脳会談:韓米同盟を一層堅固なものとしていく。対北朝鮮政策をより緊密に調整、南北間、米朝間の対話を再開させ、再び平和協力の歩みを進めるための道筋を模索したい。

 ◇P4Gサミット: 気候変動対応に向けた国際社会の協力を強化する。韓国開催のため、我々が主導的な役割を担う姿を発信できる良い機会。責任ある中堅国家として韓国の地位を高める契機にしたい。

 ◇G7首脳会談:韓国が招請され続けていることは、国のプレゼンスが高まっていること。K-防疫が世界の標準となり、世界各国は韓国経済の驚くべき回復力と成長潜在力に注目している。K-POP、K-ビューティー、K-フード、K-コンテンツは、グローバルブランドとなり、韓国文化に世界中の人々が熱狂している。経済、文化、芸術、科学、保健、民主主義など、我々の魅力と国際社会への貢献が韓国をソフトパワー強国へと押し上げている。

文在寅の「勘違い」

 特に、文在寅大統領はG7首脳会談に招請されたことを誇らしく感じているようで、特別演説でも力をこめているようだったが、韓国政府関係者は「韓国が出席したところで、文在寅大統領が演説したような成果が得られるかは甚だ疑問です」と突き放すように言う。

 他方、米韓首脳会談では、バイデン政権が見直し中の北朝鮮政策が主要議題となる見通しだ。バイデン政権は北朝鮮の「完全な非核化」を目指し、4月28日の議会演説でも北朝鮮の核問題を「深刻な脅威」と指摘していた。

 韓国政府も、米韓首脳会談決定後の会見で「朝鮮半島の完全な非核化、恒久的な平和定着進展に向けた協調を行う」と発表。文在寅大統領も前述した就任4年の特別演説時に、北朝鮮に向けて「韓国側の呼びかけに呼応するよう期待する」と述べ、国民には「対話の雰囲気醸成に力を合わせてほしい」と訴えた。

 さらに「南北合意及び現行法に違反し、南北関係に水を差す行為は決して望ましいものではない。政府としては、厳正な法執行を行わざるを得ない」などとし、北を刺激する内容の「扇動ビラ散布」を行う団体に対して釘を刺す発言もあった。

 しかし、実際の文政権は北朝鮮の度重なる核ミサイル発射に強く抗議することもせず、核実験も止めようとはしていないのが現実だ。一方の北朝鮮は文在寅政権に批判的な態度も見せており、すれ違いは鮮明だ。

文在寅に迫られる「踏み絵」
 これまでの韓国政府の対応を見てもわかるように、米韓の対北朝鮮に対する姿勢は明らかに異なる。目指す方向が違うのに対話をしたことろで北朝鮮問題が解決へと向かうわけがない。

 仮に、米韓間で北朝鮮の非核化に関する合意が成されたとしても、韓国にとっては建前上の合意でしかないだろう。韓国はこれまでことごとく国家間の約束を破り、国際法違反を犯してきた。そして従北姿勢は変わっていないのだから疑われて当然である。

 6月に開催されるG7首脳会談は“陰の主役が中国”だと言われており、4月にバーチャル形式で開かれた準備会合においても、出された多くの主題に中国への言及があった。

 今回はG7正規メンバー以外にインド(11日に対面出席見送りを発表)、オーストラリア、韓国が招待されている。これらの国家トップが出席・団結することにより、中国への強硬姿勢を強めていく狙いがある。

 しかし、韓国は経済面や対北朝鮮における中国の影響力を無視できない。それが証拠に、2月8日に就任した鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官の初外遊先は米国ではなく中国だった。

 そんな韓国がG7に参加すれば、米国だけでなく参加国全てが韓国に踏み絵を迫るのは間違いない。

全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/5948662b55363b0cbc329cfaa2cb10be34353589
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