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▲アンヘル・グリアOECD事務総長。2018年、本紙がインタビューした際の姿。/孫振碩特派員

グリアOECD事務総長退任インタビュー

 「わずか1世代で援助される国から援助を与える国へと驚くべき変身を遂げた韓国が加盟国だというのは、誇らしいものでした」

 「先進国クラブ」の経済協力開発機構(OECD)を15年間率いてきたアンヘル・グリア事務総長は5月28日、韓国特派員との映像インタビューで「韓国は国際社会で劇的な変化を見せてくれた象徴」だとして、このように語った。

 メキシコ国籍のグリア事務総長は自国で財相、外相を務めた後、中南米出身としては初めて2006年にOECDのトップに上った。5年の任期を2度延長し、OECD事務総長としては歴代最長を記録した。6月1日に、元オーストラリア財相のマティアス・コーマン次期事務総長と交代する。

 「韓国の緩慢なコロナ予防ワクチン接種のスピードは景気回復に支障を与え得るか」という質問に対し、グリア事務総長は「韓国は高い水準の防疫規制のおかげで確定患者数が少なく、(本格的な接種まで)時間がある」「韓国人は、一度何かを始めたら良い結果を見せてくれたように、ワクチン接種も軌道に乗ればスピードが付くだろう」と答えた。

 グリア事務総長は「完璧な政策というものはないから、韓国も改善すべき部分はある」として「住宅価格や家計負債の問題は心配になる部分」と語り、さらに「完全に景気が回復したと判断されるまで、韓国政府はコロナ事態に対応した景気浮揚策をやめるべきではない」と注文した。

また、ワクチンの不均衡に対して懸念を示し、一部の先進国にワクチンが過剰供給されていると指摘したグリア事務総長。「開発途上国や貧しい国にワクチンが再分配され、できるだけ多くの国でワクチン接種が行われ得るようにアイデアを集めなければならない」とし「みんなが安全になるまで誰も安全ではない、という原則を考えるべき」と語った。

 さらに「当面、世界はコロナウイルスに立ち向かって戦うことが急務だが、最も重要なのは世代を超えて地球を保護すること」だと指摘し「重い炭素税を賦課することが、最も早くて効率的な親環境政策」「一部の国は、化石燃料に補助金を与える行為を直ちに中止すべき」と語った。

 グリア事務総長は「15年の任期中、一番重要に思ったのは経済成長と生産性だが、取り残される人がいないようにする抱擁的な成長を達成することが重要だ」とも語った。また、デジタル税について、今年10月にローマでG20(20カ国・地域)首脳会議が開かれる前に主要国間で実行方式が合意されるだろう、という見通しを示した。

 任期を終えた後の計画を尋ねられると、グリア事務総長は「ひとまず祖国メキシコに戻って家族と会い、再充電する時間を持ちたい」とし「コロナ事態が収まれば、来年ごろには韓国も訪問する考えがある」「韓国には良い友だちが多い」と語った。


パリ=孫振碩(ソン・ジンソク)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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