今月2日、ソウルで開かれた「大韓民国 素材・部品・装備産業成果懇談会」に文在寅(ムン・ジェイン)大統領が出席。スピーチした文大統領は「奇襲攻撃するかのように始まった日本の不当な輸出規制措置に対抗した結果、『素材・部品・装置の自立』への道を歩み2年が経過した」、「我々は共生と協力により、確固たる国家樹立へと前進した」と日本を名指しし、文政権下で行った対日政策の成功を宣言した。しかし実態は張り子の虎とでも言うほど、「脱日本」にはほど遠い状況なのだという。韓国在住のライター、羽田真代氏によるレポート。

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この結果、「50%に肉迫したフッ化水素の日本依存度を10%台に引き下げ、フッ化ポリイミドは独自技術の確保に続き輸出まで成し遂げた」、「国内産業で高い比重を占める100の戦略品目に対する日本への依存度を25%まで減らした」と文大統領は冒頭の懇談会で主張している。

 しかし、大統領が口にしていないデータもある。日本からの輸入は2兆4100億円と前年比(1~5月)で約20%増加、部品や素材などの輸入に限ると1兆5200億円と前年比の15%増加しており、それだけ見ても韓国は完全なる“脱日本”ができていないと言えよう。

世界で進んだ“脱韓国”

 そもそも、日本が韓国をホワイト国から除外したからといって、適正方法に則り申請さえ行えば韓国は従来通り輸入できるわけで、影響は極めて限定的だったはずだ。しかし、韓国の政府とメディアは必要以上に事を荒らげ、日本製品の不買運動にまで飛び火させた。ムダなプライドが邪魔したのだ。不買運動をすることによって、日本に大打撃を与えると韓国ではメディアも国民も豪語していたが、実際にそうはならなかった。

 加えて、不買運動の範囲は日本のみならず世界のいくつかの地域に拡がっていて、この度を越した不買運動が世界各国の“脱韓国”へと繋がっている点も見逃せない。世界の韓国への投資は2020年には811億円と前年から半減、進出企業も同様に半減した。

 これは、韓国内での過激な不買運動や企業経営者を締め付ける法律が次々に制定されたため、各国の企業らが韓国への投資や進出に二の足を踏んだ結果である。コロナ禍だったことを差し引いても韓国離れが進んだことの証左といえよう。これにより航空会社をはじめとする企業が倒産し、韓国内の雇用も悪化、若者らが就職できないという悪循環を招いた。自国の首を自分たちで締めていただけだったのだ。

 こうした状況にもかかわらず、文大統領は今回のスピーチで、自身の取った政策が正しかったと自画自賛したわけだ。最近の大統領は日本との関係改善をほのめかす発言を重ねてきたが、それは、東京五輪で日米韓+北朝鮮の首脳会談を行いたいという願望があったからとされている。いずれにせよ、残り任期1年を切った中で、自らのレガシーのアピールに余念がないということなのだろう。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/3327f5a724723f7661cdc0d1c40b9f23e6d059ce?page=1