欧州での生産に支障、7月に170万回分が遅延 
当局「既定の8月分は予定通り供給」 
ノババックスの許可書類提出も遅延 
9月の「国民の70%の1次接種完了」達成までには複数の山

 韓国でのモデルナのコロナワクチンの7月供給分の不足は、欧州の生産施設の問題が原因であり、8月供給分は欧州以外の生産施設から供給されることが分かった。これを受けて政府は、8月分の確保や接種日程には変動はないとの見通しを明らかにした。しかし、モデルナは医薬品の大規模な生産の経験が全くない会社であるため、これまでにも複数の国への供給日程に支障が生じており、不確実性は小さくない。

 中央事故収拾本部(中収本)ワクチン導入事務局のチョン・ウニョン事務局長は27日のブリーフィングで「モデルナのワクチンの8月導入分は、予定通り問題なく入ってくる計画であることが確認された。7月の未導入分は8月分に加えて入ってくる予定」だと明らかにした。政府は前日、「モデルナ側から、生産に関する問題があると通告してきた」とし、8月2〜8日に55〜59歳が接種を受けるワクチンのほぼすべてをモデルナのものからファイザーへと変更すると発表した。

 もともと今年5月から今月までに韓国に入ってくることになっていたモデルナのワクチンは、スイスのバイオ企業ロンザが原液を生産し、スペインの企業ロビ(Rovi)が瓶詰めを行ったものだった。チョン・ウニョン事務局長は「今回の生産に関する問題は韓国だけに当てはまるのではなく、当該製造所の生産分の供給を受ける国々に共通して当てはまる問題」とし「8月の供給は7月の供給分とは異なり、欧州以外の生産施設で生産されるため、当初の計画通り進める予定」と述べた。モデルナのワクチンは年内に4000万回分を導入しなければならないが、これまでに入ってきているのは115万回分(2.8%)のみ。

 現在、モデルナのワクチンの製造工程でどのような問題が発生しているのかについて、政府は依然として具体的な説明をしていない。モデルナの原液はスイスのロンザのみが生産していることなどを考慮すると、8月の供給が順調に進むと断定するのは難しい面があるということだ。コロナ予防接種対応推進団のキム・ギナム接種企画班長は「8月の物量が計画通り導入されれば、現在進められている50代の接種と8月中に行われる予定の18〜49歳に対する接種は、支障なく進めることができるとみられる」と述べた。政府は今月30日に「8月の接種計画」を発表する予定だ。

 モデルナのワクチンの7月の供給の不足分は170万回分ほどと推定される。今月すでに入ってきている630万2000回分、今月28日に入ってくるファイザーのワクチン267万9000回分、29日に入ってくるジョンソン・エンド・ジョンソン(ヤンセンファーマ)のワクチン10万1000回分を合わせると、7月中に確保されるワクチンの総量は908万2000回分だ。本来7月に入ってくるべき物量が1078万2000回分であることを考えると、170万回分ほど足りないことになる。政府は先月16日に、7月に供給されるワクチンは1000万回分だと発表している。その後、イスラエルとのワクチンスワップ(交換)が成立し、ファイザーのワクチン78万2000回分がこれに追加されている。

 米国企業であるモデルナは、2010年にmRNAワクチンを開発するベンチャー企業としてスタートし、新型コロナウイルスワクチンを開発するまで医薬品の販売実績が全くなかった企業だ。トランプ政権から67億5000万ドル(7兆7500億ウォン)の集中的な支援を受けて開発した今回のワクチンが初の製品だ。またモデルナはファイザーなどと異なり、独自の生産施設を持たない。そこで原液はスイスのロンザ、瓶詰めは米国のキャタレント、フランスのサノフィ、韓国のサムスンバイロジックス(8月末に生産予定)などの外国の製薬・バイオ企業に任せ、完成品を生産している。

中略)

 実際のところモデルナは、日本やカナダなどの国々への供給にも支障をきたしている。日本政府は先月までに4000万回分のモデルナのワクチンを受け取ることになっていたが、実際に受け取ったのは1370万回分のみだったことを今月初めに発表している。ホン・ギジョン委員長は「モデルナは技術が流出することを懸念し、スイスのロンザを通じて閉鎖的に原液を生産しているため、生産能力が不足している。米国以外にはまともにワクチンの供給を受けている国がない」と指摘した。

以下記事元にて。

ハンギョレ新聞 修正:2021-07-28 08:20
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/40689.html