ファイザー・モデルナ製ワクチンの1回目と2回目の接種が6週間隔となる韓国国民は計2511万人だ。人口の半分にのぼる。経済活動が旺盛な20−50代の大半が該当する。鄭銀敬(チョン・ウンギョン)疾病管理庁長は先月初め「ワクチンの供給が不確実になり、一時的にファイザー・モデルナ製ワクチンの接種間隔を3、4週から6週に延ばす」と述べた。了解を得たというよりも一方的な通知に近かった。「一時的」と言ったが、1カ月をはるかに過ぎても3、4週に戻らない。聞こえてくる話は残余ワクチンを活用して6週間隔を少しだけ縮めようという程度だ。

ファイザー製ワクチンの接種間隔は3→4→6週とゴムひものように伸びていった。3→4週となった時の政府の説明は見苦しかった。「接種者と医療機関がファイザー3週、モデルナ4週を混同しかねず4週に統一した」というものだった。ワクチン不足のため4週に延ばしながら、あたかも国民に大きな便宜を図るかのように話した。3週、4週が分からなくなるほど国民はバカだと思っているのだろうか。正直に説明して了解を求めればよいことだった。ファイザー3週、モデルナ4週は製薬会社が最適な条件を考慮して定めたガイドラインだ。当然守るのが最善だ。米国疾病管理予防センター(CDC)の基準も同じだ。CDCは、やむを得ない場合は最大6週(42日)まで遅らせることができるが、「6週を超過してはならない」としている。ドイツは米国と同じで、英国は最大8週まで許容している。

韓国では20−50代の大半がCDCの有効期間の最終日である6週(42日)後に2回目の接種をする。それで問題がないのか不安だ。鄭庁長は「ファイザーの場合、臨床試験をする際、6週データが一部反映された」とし「接種間隔による効果の差に関する文献は確認できなかった」と説明した。分かりにくく説明したが、結局は科学的根拠が確実でないということだ。具潤哲(ク・ユンチョル)国務調整室長は国会で質問を受けると「6週間隔で接種しても効果の差はそれほど大きくない可能性があるという専門家の意見を受けた」と語った。これもあいまいな言い方だ。

仮に2回目の接種時期に体調が良くなかったりやむを得ない事情が生じても、有効期間6週を満たしているため延期することができない。一時的にワクチン導入に支障が生じれば遅らせることもできず大変なことになる。モデルナは供給物量を直前に通知するなど確実性が低い。いわゆる「モデルナリスク」だ。さまざまな理由で6週間隔はリスクが伴う。20−50代を対象にした危険な実験ということだ。

政府が6週間隔という無理のなる措置を取ったのは1回目の接種率を高めるためだ。2回目の接種に使用するワクチンを1回目に回し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が公言した「秋夕(チュソク、中秋)前の1回目の接種率70%達成」に集中している。具潤哲室長は「1回目だけでも効果があるので最大限多くの国民が1回目の接種を受けられるようにこうした政策を使った」と説明した。ところが1回目の接種率はそれほど意味のある数値ではない。ファイザー製ワクチン1回目の接種はデルタ株予防効果が31%にとどまる。2回目まで接種してこそ88%まで高まる。1回目を増やすよりも接種間隔を縮めた1人でも多く2回目の接種まで終えるのが重要だ(チェ・ジェウク高麗大医大教授)。

こうした事情を知らないはずがない政府は「1回目の接種率で米国、日本を追い越した」と自慢するのに忙しい。経済協力開発機構(OECD)最下位を争う2回目の接種率ではなく、1回目の接種率を前に出して接種が順調に進行しているように装った。マラソンに例えると、何人が完走したかではなく、折り返し地点を通過した人が多いと自慢しているだ。一種のごまかしだ。2回目の接種を先に延ばして1回目の接種者を増やしたため、1回目(65%)と2回目(39%)の接種率の差は26ポイントに開いた。他国では1回目と2回目の差が大きくない。アワー・ワールド・イン・データによると、11日現在、米国は1回目(62%)、2回目(53%)の差が9ポイントだ。ドイツは5ポイント、シンガポールは1ポイントにすぎない。日本は1回目が62%で韓国より低いが、2回目は50%ではるかに高い。

政府はその間、ワクチンを適時に導入できなかった失策を隠すため、何度もごまかしてきた。

続きはソースで
https://japanese.joins.com/JArticle/282953