(黒田 勝弘)
韓国における慰安婦反日運動はこのところ支援団体の資金不正疑惑が表面化することで勢いは大きくダウンしているが、それに追い打ちをかけるように最近、韓国で「ウソだらけの虚像を剥ぐ」として慰安婦の証言および支援救済活動に対する検証本『赤い水曜日』が出版され、注目されている。

著者の金柄憲氏(キム・ビョンホン、52歳)は成均館大学出身で在野の歴史研究者である。これまで左翼偏向がひどく反日色の強い教科書に対する批判活動を展開してきた。特に学校教科書で慰安婦問題が日本軍による強制連行説として証拠抜きで“暴力的”に記述され、教えられていることに疑問と怒りを感じたのが慰安婦運動糾弾に乗り出した動機という。

 著者は『赤い水曜日』の「あとがき」で、韓国で定説とされている日本軍慰安婦をめぐる「強制動員説、性奴隷説、戦争犯罪説」は運動団体のウソの扇動による虚偽であると断言。「慰安婦問題の本質は貧困であり、貧しさによってもたらされた悲しくも恥ずべきわれわれの自画像である」「もう人のせいにするのはやめよう」「問題解決の前提はウソをやめ正直になることだ」と主張している。

「日本軍慰安婦被害者にあてはまる者は一人もいない」
 慰安婦問題をめぐる虚偽は一昨年、韓国でベストセラーになった『反日種族主義』(李栄薫編著、日本語版は文藝春秋刊)で厳しく指摘されるなど、韓国内でもやっと暴露や批判がはじまっている。今回の本はその決定版のようなもので、これまで“聖域化”されてきた慰安婦問題批判のタブーはここにきて完全に崩れたかたちだ。

 著者はこれまで、慰安婦支援団体による日本大使館前のいわゆる「水曜デモ」に際しては彼らを糾弾する“対抗デモ”を続けるなど自ら直接行動してきた。そして大統領官邸や女性家族省など政府当局にも陳情や請願、情報公開請求などを繰り返し、慰安婦問題の“虚偽”を追及し、訴えてきた。本書はその戦いの記録でもある。

 本書は、日本軍慰安婦だったとして支援団体によって内外で日本糾弾の反日運動の先頭に立たされ、韓国政府から法的に生活支援を受けているいわゆる“慰安婦被害者”について、記録として残されている彼女たちの証言集を詳細に検証している。その結果、韓国の「慰安婦被害者法(日帝下日本軍慰安婦被害者に対する保護・支援及び記念事業等に関する法律)」で定義されている「日帝に強制動員され性的虐待を受け慰安婦としての生活を強要された被害者」という「日本軍慰安婦被害者にあてはまる者は一人もいない」と主張している。

“慰安婦第1号”の証言をあらためて分析した結果は?
 本書では慰安婦証言の検証対象として内外でよく知られた代表的人物の3人がしばしば取り上げられている。一人は1991年、初めて日本軍慰安婦被害者を名乗り記者会見したことで有名な金学順。それに政府から人権活動家として勲章まで授与された金福童。もう一人は今も健在で資金疑惑を最初に問題提起し、慰安婦問題の代弁者格になっている李容洙。いずれも証言には大きなブレがあり、彼女らの経歴に日本軍による強制連行や慰安婦強制の証拠はないとしている。

 とくに“慰安婦第1号”といわれ、その記者会見の日(8月14日)が国家指定記念日の「慰安婦を称える日」になっている金学順は、今や慰安婦問題の象徴的人物として神格化されている。日本の朝日新聞が当時、記者会見に先立ち“特ダネ”として紹介した人物でもある。今年は“初証言30周年”ということで記念行事が盛んだった。本書では、彼女が養父によって身売りのため中国に連れて行かれる際、見送りの実母から平壌駅で黄色いセーターを贈られ、中国では約3カ月間、慰安婦をした後、客として来ていた朝鮮人の商売人と駆け落ちしたという証言をあらためて引用、分析。日本軍による強制的な慰安婦生活という事実はまったくないとしている。

 こうした金学順証言をはじめ元・日本軍慰安婦たちの証言の矛盾や問題点については、日本では以前から指摘されてきたが、韓国では正面切って暴露され批判されることはなかった。今回、そのタブーが崩れたのだ。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/914b4b981f5850163d5f32fbb1886daf683e5194?page=1