台湾で米特殊部隊の活動認めた蔡総統の“覚悟” 米有力紙「有事は目前」 日本の衆院選でもっと議論すべきではないか 

 台湾の蔡英文総統は28日に放送された米CNNとのインタビューで、米軍特殊部隊が台湾の陸上部隊を訓練していることを認めた。在台米軍は1979年の米台断交に伴い撤退した。その後、米軍の台湾での活動は「公然の秘密」とされてきた。CNNによると、米軍の活動を認めた総統は蔡氏が初めてという。米有力紙には「台湾有事は目前」とする寄稿文も掲載されるなど、事態は緊迫しつつある。



 「(中国の軍事的脅威は)日に日に(増している)」「(台湾の米軍は)考えられているほど(人数は)多くはない」「米国から広範囲の協力を受けている」「長い関係を考えれば、われわれは米国とともにいるし、議会や政権だけでなく米国民の支援があることを信じている」

 蔡氏は番組でこう語った。

 米軍の活動については、米国が台湾関係法に沿って続ける「自衛力維持の支援」の範囲内との見方を示した。

 ジョー・バイデン米大統領は21日の対話集会で、司会者から「米国は台湾を守るつもりか」と質問され、「その通りだ。私たちはそうする責任がある」と発言した。後に政府高官が「政策変更」を否定したが、蔡氏は「異なる解釈がある」とした。

中国の軍事的威圧は露骨だ。今年すでに軍用機延べ約680機を台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入させている。台湾国防部は、中国軍の武装ヘリコプターと輸送ヘリコプターが26日、台湾南西のADIZに進入したと発表した。同種ヘリ進入が確認されたのは初という。

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(英語版)は、「(ヘリ投入で上陸作戦に)より多くの戦術的選択肢を提供できる」「(台湾南西の空域を)人民解放軍が掌握している」との軍事専門家の見解を紹介した。

 こうしたなか、米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は28日、「中国が差し迫った軍事的脅威であり、有事は近いかもしれない」「衝突および敗北する可能性を避けるには、米国は中国抑止に向け直ちに行動を起こさなければならない」と提言する、元国防次官補代理の寄稿文を掲載した。

 「台湾有事」は「沖縄有事」「日本有事」に直結する。日本の衆院選でも、もっと議論をすべきではないか。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は「中国軍は今月初め、延べ150機もの戦闘機や爆撃機を台湾のADIZに進入させた。その後、米台が協力関係をアピールしたことで、中国側の動きは抑えられた。中国は現在、どう動くか考えているのではないか。日本も有事には米国と協力して台湾を守る姿勢を表明しなければならない。弱気な姿勢では中国を増長させる」と語った。

夕刊フジ公式サイト 2021.10.29
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/211029/for2110290003-n1.html