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▲日本発嫌韓ウイルス/イ・ヒョンジュ/2021年10月20日出版/2万8000ウォン

日本の嫌韓は昨日今日のことではない。光が強いほど影はより一層濃いと言う。片方で韓流の流れが大きくなるほど他方では嫌韓の毒きのこが広がっている。歴史的関係が密接な両国の人々の間に我と非我を分けて、他者を戯画化したり憎悪する事例を探すのは難しいことでない。

ところが責任ある公職者・政治家・企業家が日常的に他国と民族に対して侮辱的な言葉を公開的に繰り返す国、主要な書店に特定国と民族を蔑視する内容の単行本・漫画・雑誌コーナーを用意して堂々と販売する国は現代先進文明国のうち日本の他にあるだろうか。

嫌韓は日本で一つの政治手段であり産業・市場であり社会文化だ。

本「日本発嫌韓ウイルス-日本支配階級のゆがんだ政治工学」は単なる嫌韓に関する話ではない。30年以上の経歴のベテラン外交官出身である著者イ・ヒョンジュ元駐大阪総領事は嫌韓というキーワードで韓日関係を深く掘り下げる。

嫌韓論を形成する主な内容は日本の優越性と韓国の劣等生だ。嫌韓は歴史的虚構である神功王后の新羅征伐が「歴史」として記録された8世紀の古事記、日本書紀に遡る。神功王后の新羅征伐説は朝鮮後期・江戸時代の朝日国力差で日本底辺に流れた朝鮮蔑視観に溶け込んだ。結局、明治維新時代を迎えて征韓論の原形として復活した。

現在の嫌韓論の拡大背景は1000年以上続いた朝鮮蔑視観という歴史的土台の上に韓日間国力格差の縮小ないしは韓国の追い越しにともなう韓国コンプレックスの形成、執権勢力を含む既得権勢力の国内政治的悪用などを含む。

安倍晋三元日本総理が象徴する右翼勢力の嫌韓活用に対する知識人と言論の順応、侵略と支配を否認する日本の歴史否定主義はその共犯だ。特に米国の政府と知識社会の親日傾向が東アジア近現代史の葛藤を招いた点と嫌韓の韓国式再受容を指摘した点は示唆するところが大きい。

マーク・ラムザイヤー米国ハーバード大教授の「日本軍慰安婦被害者=売春婦」という論文や韓国知識人が書いた自虐的著作の家系図が明らかになったわけだ。この点で題名から抜け落ちた部分がある。「日本発」の次には「韓国着」という見えない修飾語がある。

世界の人々の普遍的見解とは異なる日本特有の独特の観点に対する説明は日本を理解する糸口を与える。最初、北朝鮮常駐韓国公務員(韓半島エネルギー開発機構新浦事務所初代代表)だった2年間の経験を生かし、日本人の心理構造と行動様式を北朝鮮住民と比較して紹介する部分も面白味を加える。

東京=キム・チョンジュン特派員

ソース:世界日報(韓国語)日政治権力がばら撒いておいたよじれた‘反韓感情’解剖
https://www.segye.com/newsView/20211105511145