中国が軍事的圧力を強める台湾情勢をめぐり、米国との日本の議員らが「台湾重視」の姿勢を示した。台湾外交部(外務省)は25日、米国のマーク・タカノ下院議員(民主党)ら超党派の議員5人を含む17人の一行が同日、米軍機で台湾入りしたと発表した。米議員団の訪台は今月2度目となる。日本の安倍晋三元首相も来月1日、台湾に向けて「新時代の台日関係」と題するリモート講演を行う。

 「台湾の最高幹部と会談し、米台関係や地域の安全保障、その他、相互に関心のある重要な問題について話し合う」

 ロイター通信などによると、在台米大使館は米議員団の訪台目的を、こう説明しているという。

 台湾メディアは、議員団一行は滞在中に蔡英文総統と会談するほか、国防部(国防省)を訪問すると報じた。

 ジョー・バイデン米政権は来月9、10日、オンライン開催する「民主主義サミット」に台湾を招待するなど、台湾シフトを強めている。今月9〜11日には、共和党のジョン・コーニン上院議員ら超党派の上下両院の議員12人が訪台し、蔡総統や邱国正国防部長(国防相)らと会談した。

日本の動きもある。

 安倍元首相は来月1日、台湾の民間研究機関主催で、「新時代の台日関係」と題したリモート講演を行う。中央通信社が運営する日本語サイト「フォーカス台湾」が25日に報じた。立法委員(国会議員)や学者らも参加し、台湾のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)加入や、台湾有事の日米同盟の対応などについて議論する。

 国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「米議員団の訪台が、これまでにない頻度だ。上下両院、民主、共和両党の議員が台湾を支援しており、議会全体の意志を示したものだ。バイデン政権には『対中宥和派』もいるが、議会の動向は無視できないだろう。安倍元首相の講演は、与党の派閥領袖(りょうしゅう)で知名度も高く、岸信夫防衛相の実兄であることも加えて、国際的に日本の『台湾重視』の姿勢を示す大きなメッセージだ。台湾問題での日米連携にも貢献する」と語った。


夕刊フジ公式サイト 2021.11.26
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