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▲「線を越える韓国人、線を引く日本人」ブ・キ著、396ページ.1万8千ウォン.

韓国の鬼神はくやしい死から始まる。突然現れて誰かを困らせるが、恨みが極に達した理由を聞いて解決すれば簡単に消える。一方、日本の鬼神は特別な理由があるというより、もともとある地域に存在する場合が多い。それらには明確な自分の領域があり、それを侵すと害をなす。

「線を越える韓国人、線を引く日本人」(ブ・キ)は表面に現れた両国の人々の行動様式とコンテンツを比較・分析し、その本質にある情緒的・文化的差を説明する本だ。文化心理学者である著者はドラマ・アニメなど今日の大衆文化はもちろん、ことわざやシルム(スモウ)のような伝統文化まで素材にして解きほぐす。

海外の有名ロックバンドが日本で「静かに」公演した後、韓国にきてテチャン文化(会場にいる大勢の観客がステージ上の歌手と一緒に歌うこと )に感動したというエピソードは毎回繰り返される。日本では地下鉄にベビーカーと一緒に乗ることがゴミ投棄や飲酒運転よりもっと深刻な迷惑と認識される。ベビーカーが他人の私的領域を侵すからだ。

競技場の外に相手を押し出せば勝つスモウの競技方式は内外の区分が明確な日本人の心理を象徴的に見せる。反対に韓国人は'以心伝心'という言葉のように、自身と他人の立場を自由に行き来できると考える。'オジラプ'(おせっかい)が代表的だ。

文化依存症候群という心理学用語がある。特定文化に起因したと推定される精神疾患を意味する。心理学界は火病と対人恐怖症をそれぞれ両国の文化依存症候群と見る。
(記者注:アメリカ精神医学会の『精神障害の診断と統計マニュアル』第4版(DSM-IV)に韓国の火病 (Hwa-Byung)と日本の対人恐怖症 (Taijin kyofusho symptoms)がそれぞれの文化固有の精神疾患・文化依存症候群として記載がある。)

火病を起こす悔しさは客観的状況や他者認識とは関係なく、非常に主観的な感情だ。著者は「主観性は韓国人の心の質を規定する重要な特徴」と話す。

日本人が体験する対人恐怖症の特殊性は恐怖の方向性にある。他人の視線や評価ではなく、自分が他の人々に被害を与えるかも知れないことに恐怖を感じるという。

日本文化研究の古典であるルース・ベネディクトの「菊と刀」から始まり、日本に対する理解を助ける国内研究者の本も多数出てきた。著者はこれに加えて日本人を教訓にして韓国人の習性ももう少し明確に究明しようと試みる。「私が知ってる日本人はそうじゃないけど?」と反問する読者のために文化研究の基本概念も間間に説明する。

キム・ケヨン記者

ソース:聯合ニュース(韓国語)火病と対人恐怖の間…'線を越す韓国人、線を引く日本人'
https://m.yna.co.kr/amp/view/AKR20220117080200005