立憲民主党が憲法論議の対応に苦慮している。3日は衆院憲法審査会の幹事懇談会に出席したが、年度当初の予算案の審議中は憲法審を開くべきではないと訴えた。こうした姿勢には与党だけでなく、日本維新の会や国民民主党など他の野党からも反発の声があがった。改憲論議に後ろ向きな態度には「野党の意見を代表していない」と不満も強まっており、野党第一党としての信頼が揺らいでいる。

「新型コロナウイルス禍ではコロナ対策を予算委員会で議論すべきだ。憲法についても予算委の場で論ずればよい」

衆院憲法審の野党筆頭幹事を務める奥野総一郎氏(立民)は3日の幹事懇でこう述べ、令和4年度予算案の審議中は憲法審の開催を見送るべきだと主張した。奥野氏は2日の衆院予算委でも岸田文雄首相に「わが党は『論憲』という立場だ。国民の分断を生まないよう丁寧に議論していただきたい」と求めた。

これに対し、国民民主の玉木雄一郎代表は幹事懇終了後、記者団に「四の五の理由にならない理由を述べるのではなく、議論することが大事だ。変な反対をするから分断が生まれる」と反論した。

さらに、「危機でも立法府の機能をどう維持するのかという議論は速やかに行うべきだ」と述べたうえで、「(憲法の議論をしなければ)新型コロナ対策が『後手後手だ』という政府批判のブーメランが返ってくる」とも強調。立法府の責務として、新型コロナ禍で浮き彫りとなった憲法上の課題を解決すべきだと訴えた。

国民民主幹部は「オールド野党はいらない。『論憲』なら(憲法審に)出てこい」と立民を批判する。

憲法をめぐる政党の勢力図は昨年の衆院選を境に一変した。議席を伸ばした国民民主が与党や維新と足並みをそろえ、積極的な改憲論議を繰り返し提案している。

立民は1日の幹事懇を欠席し、3日の憲法審開催に反対する姿勢を示したが、3日の幹事懇には姿を見せた。立民の幹部会合でも「議論した方がいい」との声があがり、党内外の圧力に抗しきれなかったとの見方もある。

とはいえ、立民は他党が求める10日の憲法審開催に慎重な構えを崩していない。維新の馬場伸幸共同代表は幹事懇で、奥野氏に「憲法審を妨害しているのは立民と共産党だけだ」と反発した。

立民は現在、野党を代表して与党側との交渉に臨んでいる。ただ、維新幹部は意見が交渉に反映されていないとして、「各党間の個別協議に切り替え、『立民が野党をまとめているわけではない』ということをはっきり認識させた方がよい」と突き放すように語る。

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